元教え子 東 紅 37
解放した2人を紅に預け後方に下がった事を確認し、俺は最後の1人を解放するべく動き出した。
2人を救出したからか、その分モンスターの体積は先程よりも更に減少している。
その影、俺達から見てモンスターの左側の後方、そこから3人目と思われる気配を感じる。
威力が弱めの魔力を打ち出し牽制しながらモンスターの左側面に回り込む。
弾幕に圧倒されて反撃に移れない様子で、大きな体を揺らすのみだ。
モンスターの真横程に来た時に気配を感じた所に人の足が見えた。
モンスターの中央付近まで飲み込まれていた様で、未だに体の殆どは体内に残されたままになっている。
「全く、本当に厄介だよ…。」
軽い溜息と共に呟きモンスターに接近し、張り直されていた魔力障壁を再び壊してその体に右拳を打ち付ける。
魔力を纏ったそれは、衝撃でモンスターの一部を抉り取った。
「Gaォooooon!」
痛かったらしいモンスターの不快な叫びが響き、体を大きく揺さぶらせる。
超至近距離だったので頭が揺れる様な感覚になるが、我慢出来ない物ではない。
左右の拳の魔力を調節しながらモンスターに交互に何度も打ち込み、少しずつ取り込まれている人が傷つかない様にモンスターの肉を取り除いていく。
のんびりしてると再生されるのでなるべく急いで行う。
肉が剥がれて8割程見えてきた。
その人物の腰を片手で掴み、体内から引きずり出すと同時にモンスターを飛び越え紅達のいる少し手前に着地した。
これで遠慮なく攻撃できる。
「今からあのモンスターを吹き飛ばす。焼却はよろしくたのむ。」
「任せて下さい。いつでも大丈夫ですよ!」
その返事に笑顔で返し、強い魔力を右手に纏う。
その魔力をドリルの形に形成、回転させて、力を込めて打ち出した。




