元教え子 東 紅 36
弛緩した雰囲気を締め直し、戦闘を救助に移行すべく動き出した。
目測ではあるがモンスターの体積は当初の60%程にまで減っている。
更にこちらの攻撃に打ちのめされ今や防御を固めるのみで、殆ど反撃をしてこない。
時折精神汚染と思われる不快な魔力を放ってくるが俺には効果が無く、紅は耐性が付いたのか強くなったのかどちらかは分からないが効いていない様子だ。
予想した通りこのモンスターの直接的な戦闘力は低く、精神攻撃に超特化した型のようで、そこの部分が対応出来てしまえば特殊な状態でない限り、対策部隊の5人小隊で問題なく討伐出来るだろう。
今回は奴が意図してかしてないか、人質のいる状態になっているため少々厄介だった。
しかしもうすぐそれも終わる。
追加で三回程度奴の体を破壊、焼却をすると、正面に見えていた要救助者2人は体の8割程が出て来て見えている。
「よし、俺が前に出て魔力の防壁を突破し救出を開始する。東は回避に専念し魔力の回復に努めてくれ。救助した人の防衛もお願いする事になる。宜しく頼むぞ。」
「了解です、ご武運を。」
「あぁ、ありがとう。」
足の裏に魔力を集め爆発させた勢いを推進力にしてモンスターに突撃する。
俺の急な突撃に驚いたのか、モンスターは魔力の防壁をさらに厚く展開した。
「ふんっ!」
俺は右拳に強めに魔力を纏うと勢いそのままに拳を突き出し、モンスターの防壁を突き破ると要救助者2人の前に躍り出た。
「gigigi!」
咄嗟とは言え、かなりの密度で張った防壁が簡単に突破された事に驚いたのか、モンスターが引きつった様な声を出す。
「すまんがこの人達は貰っていくぞ。」
目の前の男性2名を素早くモンスターから引き抜き解放し、両脇に抱え再度足の裏に魔力を集め爆発させて後ろに跳んで元の位置に戻る。
「東!この2人を頼む!」
「はい!」
解放した2人を紅に預け後方に下がった事を確認し、俺は最後の1人を解放するべく動き出した。




