表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/133

12年働いた職場 3

疲れた顔をした彼と事務方に心の中で敬礼をしつつ、俺は上司の部屋の扉をノックするのだった。



「只野です。先ほど連絡をもらい参上しました。」

『入り給え。』


扉越しのくぐもった声に許可をもらい、上司の部屋の扉を開ける。

事情故か、その声には多分に疲れが感じ取れた。


入ると正面の机に、歳故のグレーの髪、少しやつれ疲れっきた顔の上司東 京生(あずま きょうせい)(御年70歳)が書類を見ながら話しかけてきた。


「よく来てくれた。」

「久しぶりの休日だったんですがね…。」

「それはすまない、だが事は急を要するのだ。」

「事情は分かりますがね。」

「本当にすまない。」

「…。」


本当に思ってるか甚だ疑問だが、それを聞いたところで解決する事ではないので、その質問を飲み込んだ。



「お願いしたいことは電話で話した通りだ。とあるお偉いさんのお孫さんを救出して欲しい。可及的速やかにだ。」

「それは分かってますがあの惨状は何です?職員が困ってましたよ?」

「それも電話の通りだ。パイプが欲しい連中がフリーランスに高額で救出依頼を大量に出している。その金に目がくらんで、中途半端な実力者が挑み、また行方不明というわけだ。」

「それでこの惨状、ならばここ数日ではありませんね?何故最初にこちらに相談がこなかったんです?」


入口のあの惨状だ救出依頼を出して、行方不明者がこれだけ出た後ならば、お偉いさんの孫が行方不明になって、少なくとも二週間近く経っていると見ていいだろう。



「如何やら意図的に情報を操作していた連中がいたみたいでね、相当パイプが欲しかったらしい。聞いたところ今日で12日経っている。私が知ったのも今朝だ。」

「下手したら責任問題ですな。」

「他人事じゃないぞ、ダンジョン対策本部特殊作戦第一部隊隊長 兼ダンジョン探索部隊教官長 兼ダンジョン学園立案並びに創始者 只野 優人。」


小粋なジョークにピクリとも表情を変えずに、笑えない返しが返ってきた。

何度聞いても聞きなれない、高卒の俺の肩には重すぎる役職。

そうこの無駄に長くて、無駄に仰々しいのが今の俺の肩書である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ