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元教え子 東 紅 28

そこには生気のない目をした紅が腕をだらんと垂らし、棒立ちのまま目の前のモンスターを見ていた。



しまったと思った。

油断したつもりは無いが相手の精神汚染能力が想定以上だ。

紅の精神耐性を軽く突破し、一瞬で無力化されるのは想定外だった。


モンスターの力を見誤るとは俺もまだまだだな。

心の中で独り言つも、現状が変わる訳でもないため作戦を練り直す。

取り敢えず目の前のモンスターをさっさと倒し、彼女の症状がどこまで深いかを見なければならない。


しかし、この距離になって分かった事だが、このモンスターと被る様に複数の人の気配がある。

取り込まれているのか、その肉の下にいるのか、どちらにせよ力任せに攻撃するのはあまりよろしくない。


かといって時間を掛け過ぎれば紅の症状はどんどん悪くなっていく。

一刻も早い精神のケアをしなければ最悪廃人になる可能性もある。

可愛い教え子だ、それだけは避けたい。


そうなると、要救護者を傷つけない様にモンスターを迅速に倒し、救助並びに紅を正気に戻す。

初見のモンスター相手にこのタスクを熟さなければならない。


思考してる間にも俺が攻撃した部分に肉が集まり、抉れていたと思われる部分が覆われ、再生している模様。

大きな口が歪む、笑っている様だ。


「…厄介だな、本当に。」


つい独り言が出てしまった。

だがそう言いたくなるのも事実なので見逃して欲しい。


紅が遠距離からの精神汚染を受けた時点でおかしいと思うべきだった。

彼女は在学時から精神耐性が高く、ダンジョン対策部隊の中でも高い耐性を持っていた。

そんな彼女がこの様だ、先に潜っていた者達は一溜りも無かったことだろう。


「ほんの少しの間我慢してくれ…。ツッ…!」


効くか分からないが、軽く言霊を乗せて彼女に声をかける。

それと同時にモンスターが身じろぎをし、左右から先端に口のついた触手を伸ばし攻撃してきた。

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