ギルド内の陰謀 1
俺が書類をめくる音と、竜胆がパソコンを叩く音いつもの午後。
ストレス発散のためにダンジョンに潜った後に何故か増えた研究許可を求める書類と俺はにらめっこしていた。
どうしてこうなった。
既存の仕事は狐塚がこなしてくれていたはずだ。
思い出すのは急に押しかけてきた対策本部が誇る研究者と技術者と俺の友人。
ギラギラとした目で書類を突き出し、さっさと許可をくれと言われた時は何事かと軽く混乱したし、その後ろにボロ雑巾のようになった熊谷がいたが見なかったことにした。
研究者の狂気というのか、まさか俺が気圧されるとは...。
研究者の情熱?に軽く恐怖を覚えた時を思い出していた時だった。
部屋に設置された内線が音を鳴らす。
その音に反応して、同じ部屋で仕事をしていた竜胆が立ち上がり内線を取る。
「こちら第一部隊隊長室。秘書の竜胆です。はい。はい。え?」
内線で話を聞く竜胆の表情がどんどんと険しくなっていく。
どうやら碌な話しではないようだ。
どうか俺が関わらないといけない案件ではありませんように。
ここにかかってきてる時点で叶わない願いを願う。
「わかりました。隊長にはその様に伝えます。はい。お疲れ様です。」
やはり叶わぬ願いだったようだ。
げんなりしながら竜胆の報告を待つ事にする。
「隊長。」
「なんだ?」
「行方不明者の捜索願です。」
俺に回ってくるという事は、危険度の高いダンジョンでいなくなったか、この前のようにお偉いさんの関係者か...。
後者なら厄介だなぁ。
「ギルドの長である沼須喜 美白さんが、黒部ダムダンジョンを探索中に行方不明になったそうです。」
いつもより緊張を孕んだ声で告げられたのは、民間のダンジョン産業を支える組織であるギルド連盟取締役である美白が行方不明になったという報告だった。
「...なんだって?」
その事が信じられず、俺は素っ頓狂な声を出すのだった。




