そうだダンジョンに潜ろう 15
ダンジョンミストのいた先に、次の階層への階段があった。
ダンジョンに潜ってそろそろ3時間。
外では1時間も経ってない。
実入りはまぁまぁ。
そこそこ美味しいモンスターも討伐できたため、魔力結晶も含めて結構な額にはなるだろう。
しかし、俺が今回潜る目的である手強いモンスターにはまだ出会えていない。
俺がそこそこ本気を出して戦うとなると、旧新宿駅ダンジョンの深部の方まで行かないといけない。
今回は結構危険度の高い構成なので、思ったよりも浅い階層でそういったモンスターと出会えるかもしれない。
危険度が高いダンジョンのため、ギルドや無所属の潜行者が少ないのもメリットだ。
本当に機嫌が悪い時はこの間のように同じ階層でも急激にダンジョンの難易度が上がる時もある。
1階で危険度Ⅰのビッグラットやビッグフロッグを倒して調子に乗り、先に進んだらいきなり危険Ⅳ以上のモンスターの不意打ちを受けて行方不明。
こんなケースもあり得るのがこの旧新宿駅ダンジョン。
よくもまぁ隊員で適合者とはいえ孫娘の潜行を許したものだ。
可愛い子には旅をさせよ的な考え方なのだろう。
俺はそう結論づけた。
階段を降りきり次の階層へ到着する。
見渡す限りの大海原。
「最悪だ…。」
小島にぽつんと置かれたように存在する階段のなんとシュールな事か。
俺の想定する中で一番のハズレ階層だ。
見渡す限りを覆い尽くす海水。
雲1つない青空と照りつける太陽。
振り返っても草1つ生えてない、階段だけがある小さな砂の小島。
潜行者に聞く、ダンジョン階層人気アンケート最下位の溶岩地帯と肩を並べる不人気階層の大海原。
波が小島に寄る静かな音だけがこの階層に流れる。
俺は引き返すか潜るか思案する。
引き返すのは楽だが不完全燃焼。
行くのはずぶ濡れ確定、帰りの事も考えると厄介この上ない。
「しょうがないか。」
俺は腕に魔力を強く纏う。
魔力を強く纏っているため、腕からは白い衝撃がバチバチと音を立てて現れ始めた。
「ふんっ。」
それを海原に向けて振り下ろす。
激しい衝撃音と共にうみが割れ、海底が姿を現す。
「帰りがまた面倒なんだよな…。」
幸いな事に階段はすぐに見つかった。
傍には俺の攻撃に巻き込まれたであろうモンスターの亡骸が転がっている。
それを回収してさっさと階段を降りるのだった。




