そうだダンジョンに潜ろう 1
人間限界と言うものは急にやってくるものだ。
今日も今日とて書類仕事に政府と上司の無茶振りに振り回される。
そんなある日、俺の我慢が限界に達した。
「すまない竜胆。」
「どうされましたか?」
「ちょっとダンジョン言って来る。」
「分かりました。そのように予定を調整させていただきます。」
予想に反して二つ返事で許可がおりた。
あまりにも呆気なさ過ぎて一瞬面食らう。
「いいのか?」
「はい。一日であれば問題ないかと。狐塚君に頑張ってもらいますので。」
すまない狐塚。
手土産をたくさん持って帰るから許してくれ。
「じゃあ早速出発するか。よろしく頼んだぞ。」
「はい。お任せ下さい。ダンジョンの調査並びに素材の確保を名目にしておきます。」
竜胆に見送られ、俺は執務室の窓から飛び出す。
目指すは旧新宿駅ダンジョン。
その深部だ。
あそこなら人と出会う事はまずないし、ある程度の強さは保証されている為戦いになるモンスターも生息している。
それなりに暴れる予定の為、ちょうどいいのだ。
空中に出した魔力の相場を蹴って高速で向かう。
到着まで時間はそれほどかからなかった。
受付の係員に驚いた顔をされたが、竜胆が作ってくれた名目で問題なく潜行を開始する。
浅い階層のモンスターには目もくれない。
相変わらず複雑な地形の新宿駅ダンジョンを迷いなく進んでいく。
しばらく進むと下層へ向かう階段が現れた。
今回は遺跡型ではなく、スタンダードな多層型のダンジョンを形成しているらしい。
迷う事なく階段を飛んで下りる。
すると景色がガラリと変わり、茶色い岩が突き出す荒野の様な場所に出た。
先行したはずなのに空が広がり、遠くにワイバーンの影が飛んでいるのが見える。
俺はその影が近づいてきている事に気付き微笑んだ。




