学園の生徒達
只野 優人の独白 ⅩⅣ
地獄絵図の様に様変わりしてしまった地上の光景。
倒壊したビルの残骸や見覚えのある駅の看板が、ここは現実であることを突き付けてくる。
やせ細り絶望の表情で座り込む女性。
路上で横になり辛うじて息をする初老の男。
泣き叫ぶ子供の声。
むせかえる程の絶望の気配。
この時俺が考えたのは、今最優先でやるべきことは何かだ。
俺は袋から動く枯れ木の化け物だったものを取り出し、その上に巨大亀の甲羅を逆さまにしておく。
近くにいた比較的動けそうな人達に声をかけ、大量の器を用意してもらった。
俺は再度袋に手を突っ込み、あの空間で今まで食べきれなかった肉や野菜、穀物の様な物を取り出しナイフで食べやすい大きさに切って入れていく。
食材を入れたら水が無限に入るのではないかと思うくらい入る水袋を取り出し水を入れる。
この辺りから俺が何をしたいのか分かったのだろう。
まだ動く元気のある者達が話しかけて来て、俺が炊き出しをしたいと言うと積極的になにか出来ないかと声を掛けてくれた。
俺はその人達に出来るだけ多くの人にここで炊き出しをしている事を伝えて欲しいとお願いすると、その人達は頷き散って行った。
俺は火打石代わりに使っていた、衝撃を与えると火が出る鉱石を使い枯れ木の化け物だったものに火をつける。
勢いよく炎が上がり亀の甲羅を加熱し始める。
この亀の甲羅は高い耐熱性があり、割れる心配は無い。
中の水がふつふつと温まってきた頃。
周りには多くの人だかりが出来ていた。
最初に話しかけた人達と、率先して協力してくれた人達が集まった人々を纏めてくれている。
人々は暴徒化するような様子はなく、静かに待ってくれている。
鍋の中の水が沸騰し、ぐつぐつと音を立てて煮込まれていく。
ある程度火が入ったら岩塩を取り出し、素手でゴリゴリと砕いて甲羅の鍋に投入する。
そこから少し経って遂に鍋が完成する。
その時の人々の瞳に宿った希望の光を、俺は一生忘れることは無いだろう。




