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あの後とこれからと

只野 優人の独白 ⅩⅢ

もう教える事は無い。

そう言ってフクすけも光に還り、その後を追うように他の皆も光になって行った。


最後に残ったのはクロだけ。

あんなに小さかったクロも今では立派に成長していて、逞しくなったものである。


今俺達はあの場所から出て出口に向かっていた。

フクすけ曰く、クロの役目は俺を外へ導く事。


残念な事に俺がここから出るころには彼もいなくなってしまうのだろう。

約2年、彼等にはお世話になりっぱなしだったなとしみじみに思う。


皆との別れは寂しかったが、しょうがない事だと言われたのでどうしようもない。

外で彼等の要素を持った誰かと出会えて、友情を育めれば嬉しいと思う。


出立から20日程だろうか、周りの生き物の強さが開きらかに弱くなっていた。

そろそろ外が近いのだろう。


漂う魔力や気配から何となく向かうべき方向も察しがついた。

別れが近いと察し、足が重くなったその時だった。


「バゥ。」


横を歩いていたクロが一声鳴いた。

ああ、そう言う事なのだろう。


俺は膝立ちでクロを抱きしめ頭を撫でる。

彼も察しているのか、抵抗なくなされるがままだ。


「ここまでありがとう。きっと皆がいなかったら俺は正気でいられなかった。この恩はいつか必ず返す。もし他の皆に会えたら伝えてくれないか。」

「アオーーン!」


了承を示す様にクロが遠吠えをする。

それと同時にクロの体が光に還っていく。


俺は腕の中の感触が無くなるまで同じ姿勢で彼を抱きしめ続けた。

腕の中の感触が無くなる。


立ち上がり少しだけ天井を見上げると、前を向き出口に向かい歩き始めた。

しばらく歩くと、もうどれくらい振りかもわからない地上への出口が見え、そこをくぐり地上に出る。


そこには地獄が広がっていた。


崩壊した建物、ひび割れたアスファルト、地面に座り込む人々、大人の怒声に子供の泣き声。

人々の服装もボロボロで絶望を煮詰めたかのような惨状、壊れた新宿駅の看板だけがここは日本だと俺に伝えてくる。


「なん、だ。これ…。」


俺がいない間に様変わりしてしまった様子に言葉が出ず絶句する。

それと同時に胸の奥から感情が湧き出してくる。


人々を救わなければ、助けなければ。

脅迫概念にも似た感情が俺を突き動かす。


成程、これが言っていた事なんだろう。

彼が申し訳なさそうに、でも出来ればお願いしたいと言った理由。


この感情が彼等の願いならば俺が叶えよう。

短くない時間を過ごした仲間達へのせめてもの恩返しのために。

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