カルト集団本部鎮圧戦 28 vs無貌の悪魔
そこには人型の影の様な無貌の存在が両手を掲げて立っていた。
白い布を脱いだ瞬間に奴から溢れる黒い魔力と人ならざる気配。
魔力を鋭敏に感じれる者でなくてもその異常さを感じられることだろう。
その異様な姿も相まってこの世の者とは思えない禍々しさと生理的嫌悪感に襲われる。
それと同時に胸の奥から湧き上がってくる感情。
これは唾棄すべき巨悪であると。
必ずここで滅さねばならないと。
強迫観念にも似たその感情が俺を突き動かし、気付けば大量の魔力を身に纏って何時でも攻撃できる状態になっていた。
その事に気付き一瞬で冷静になるが、次から次に嫌悪感と殺意が湧き上がってくる。
余りにも強烈な衝動に自分でも驚き少し戸惑っているくらいだ。
この感覚はあの時、俺がダンジョンから初めて生還した時の感覚に似ている。
あの時と違うのは今回のような嫌悪感ではなく、どうにかしなければいけないといった義務感や正義感といった感情であり、全く真逆の感情だったと思う。
正と負、陰と陽、この世に正反対の言葉を表す言葉はいくらでもあるが、まさしくそんな風だ。
俺は腰のナイフに手を伸ばし、特注の鞘から静かに抜く。
あの時ダンジョンで拾った時から変わらない、黒い刃のナイフがキラリと光を反射して輝く。
「ほほう、それがあなたの結晶装備ですか?それにしては矮小ですね。」
「ほっとけ。」
「ふぅむ。まぁいいでしょう。さぁ早く展開してその本来の姿を見せてください!」
奴が言い終わる前に俺はすでに動き出していた。
魔力により高まった身体能力から繰り出される鋭い必殺の斬撃。
それは肉の触手を攻撃した時とは比べ物にならない速さと鋭さで、黒い魔力を切り裂きながら奴の首筋に迫る。
当たる直前、一層濃い黒い魔力が奴から発せられるが俺の攻撃は止まることなくその魔力ごと奴の首を切り落とした。
「やったか?」
「ふっふっふ、それはやってない時のセリフでしょう?」
落とした首がこちらを見て笑っていた。




