カルト集団本部鎮圧戦 25
明らかに先程までと違う雰囲気に、俺は警戒を更に一段階上げるのだった。
足音を立てないよう慎重に通路を進む。
もちろん魔力の隠蔽と気配を殺すのも忘れない。
通路を挟んで左右に配置された石像を見やる。
精巧に造られたそれらは1つ1つポーズも表情も違ければ、体格や服装も違う。
像それぞれに個性があり、作り手の並々ならない拘りを感じられる。
まるで兵馬俑を現代風にしたかのようなその石像たち。
その精巧さと表情の豊かさ、躍動感。
月並みな感想になってしまうかもしれないが今にも動き出しそうだ。
実際に動くんだろうなぁ。
動かないにしても何かの媒体や補助といった役割がこの像達にはあるのだろう。
隠しているつもりかもしれないが、内部から僅かに例の黒い魔力の気配を感じる。
この通路に来るまで気付かなかった為それなりに隠蔽の効果はあるのだろうが…。
「何と言うか惜しいな。」
無意識にポロリとそんな言葉が漏れていた。
造形は完璧、あと少しでこの魔力も完全に隠蔽出来そうだったのに何とも中途半端というかなんというか。
こんなに外見にこだわっているのに何故と思わなくはないが、今の所考えられるのは2つ。
1つは制作者の技術が追い付いていない。
この黒い魔力は特殊なモノなため、それを扱う技術は並大抵のものでは無い。
そのため、現段階ではこれが限界だったという考えが1つ。
そして2つ目は俺ほどの魔力探知能力を想定していない。
俺の魔力探知能力は自分で言うのもなんだが一般と隔絶したレベルがあると自負していて、並ぶ者は中々いないと思っている。
組織内の者には俺に匹敵する魔力探知能力を持った者がいる可能性は低い。
そのため、このレベルで良いと判断されたのではないかという考えだ。
これ程精巧な像に高いレベルの魔力隠蔽。
造った者の苦労が目に見える様だ。
その本人とは一度お話してみたいものだ。
そんな事を思いつつ俺は通路の突き当りに到着する。
目の前にはこれまた他とは違い奇麗に装飾された扉がある。
地図でも最後の部屋となっている扉。
明らかに何かがあるのは確かだろうし、ここまでくればもう気付かれる気付かれないを気にする必要は余りない。
俺はそう確信し、助走をつけて扉を蹴破った。




