カルト集団本部鎮圧戦 22
おそらく顎と思われる場所に加減した拳を叩きつけた。
激しい音と共に檻の柵にぶつかった白い布を被った人物。
意識を失ったかどうかは分からないが今は動きそうにない。
檻の方に目を向けるとそこにはどこかで見た事のある面々がいた。
その面々は突然の事態に驚いて呆然としている様だった。
取り敢えず白い布を剥いで檻の鍵でも探す事にしよう。
この人物が蛇と呼ばれる人物なら鍵を持っていてもおかしくは無い。
ふと近くにタクトの様な短い杖が落ちている事に気付く。
先程の黒い魔力が若干残っている事から、これを媒体にして何かをする予定だったのだろう。
拾い上げて観察する。
持ち主が意識を失っても消えないあたり、これは結晶装備では無いようだ。
あの黒い魔力を使うために作られたものだろうか?
百合や水藻、土倉辺りが見れば何かわかるのだろうか?
「た、只野 優人!」
「やった!助かった!」
牢の方から声がしてそちらに目を向ける。
どこかで見た事のある4人組だ。
男性3人に女性が1人。
おそらく4人で活動している所を襲撃され捕まったといった感じだろうか。
男性2人が牢の向こう側から話しかけて来ていて、女性は今の状況についてこれていないのか驚いた表情のまま固まっている。
そして牢の奥の隅に蹲る様に座っている男性は顔を伏せたままこちらを見ようともしていない。
「おい勝、俺達助かったんだ!」
男性の1人が蹲っている彼に声を掛け励ましているようだ。
どうやら何か落ち込む事があったらしく、顔をあげるもその表情は曇っている。
「すまないが直ぐにはそこから出してあげれないんだ。」
こんな状況の彼等には申し訳ないがこの事は伝えなければなるまい。
仮に彼等をここから解放しても、もし他の隊員と鉢合わせしたらこの組織の関係者に間違えられ、拘束されて事情聴取コースだ。
「そ、そんな…。」
「今はこの組織の摘発に動いている最中なんだ。外とも連絡は取れないし、ここで君たちを解放しても安全が保障出来ない。」
「それは…。」
「終わり次第救助を寄こすから、それまで耐えてくれ。」
「わ、分かりました。」
彼等が頷くのを見て俺は組織の者と思われる人を担ぎその場を離れる。
そう言えば前に突っかかって来たダンtuberがそんな名前だったなと、離れてから思い出す。
変な縁があるものだと小さくつぶやいた。




