カルト集団ダンジョン事変 15
俺は多少の腹いせに先程までよりも多くの魔力の罠と塊を投下した。
俺の魔力の罠等による妨害で何とか敵方の動きを遅延する事には成功していたが、浅い層まで来たところで問題が発生した。
蟻や蜘蛛型のモンスターが出現し、行く手を阻み始めたのだ。
ダンジョンに潜る際は帰還の事を考えて行動するという基本があるが、今回のようなケースでは仕方があるまい。
たいした強さではないため今の隊員達でも簡単に倒す事は出来るが、一瞬でも足を止めてしまうのは間違いないため、今この場合では厄介な事この上ない。
少しでも早く抜ける為、魔力弾も飛ばし前を行く隊員達を援護する。
勿論後ろの妨害も忘れてはいない。
適時設置と投下をしながら前の状況を見て援護しているが、このままでは追い付かれて挟撃を受ける形になってしまうだろう。
そうなると面倒なのでここは強行策を取る事にする。
東の身柄は俺が確保していた方が確実なのだが、背に腹は代えられないし状況は刻一刻と変わって行っている。
責任ある立場として臨機応変に対応しようではないか。
「東を預かってくれ、俺が道を切り開く。後ろから来る奴らに気を付けろ。」
「了解です!只野隊長が出るぞ!道をあけろ!」
一番近くにいた隊員に東を預ける。
その隊員の声で前を行く隊員達が通路の左右に避ける。
俺はそうして出来た隊員達の間を駆け抜け、広く伸ばした魔力の刃で通路のモンスター達をなで斬りにしながら突き進む。
後方では隊員達が付いてきながら後方に向かって遠距離攻撃を繰り出し、追ってくるモンスターを牽制している。
移動速度は上がったが、後方からの追撃の速度も少し早くなっている。
隊員達も必死に足止めに努めてくれているが、こればかりはしょうがないだろう。
とにかく今は早く前に進まないと埒が明かない。
俺は止まることなくモンスターを薙ぎ払い続けた。




