カルト集団ダンジョン事変 13
空中に魔力で足場を作り、それを足場にしながら待機させていた隊員達の所へ向かうのだった。
東を抱えながら魔力の足場を蹴り上に跳ぶ。
落下していた時よりは早くないが、通路を走るよりは早く隊員達を待機させている場所に着けるだろう。
下からは男の怒声と先程のモンスターが這い回るカサカサという音が聞こえる。
視線を下に向けると壁や通路を登ってこちらを追いかけてきている。
その最後尾にいるモンスターの背に先程の男が乗って、こちらを指差して何やら指示を出している様子。
やはり何かしらモンスターを操る力を持っているらしい。
「調査しないといけない事が増えたな…。」
新たな悩みの種の出現に頭が痛くなりそうだが、取り敢えず今は無事に脱出をすることを考えよう。
脱出して取り残された面々の安全が確保出来れば、タイミング次第では彼の身柄を確保する動きを取れるかもしれない。
身柄が確保出来れば何かしらの情報を確保できるだろう。
出来れば組織の事を洗いざらい話して欲しいが、少なくともモンスターを操っているカラクリぐらいは吐いてくれるだろう。
「そうだ。」
ふと思いついたので足場にしている魔力の板を変性する。
その魔力の板は蹴ると同時に下に落ちて行き、モンスターに当たった瞬間膨張し破裂する。
下からは男の驚いた様な声と、サソリ型のモンスターの断末魔が聞こえる。
この現象に警戒してか心なし追いかけてくるスピードが少しだけ遅くなった気がする。
命中した個体は片方の鋏が吹き飛び無くなり、暗い色の液体を滴らせている。
即席でやった割にはそこそこな威力はあるようで、この位のモンスターなら当たり所次第では一撃で倒せそうだ。
衝撃波による攻撃のため素材がバラバラになってしまうのは問題かもしれない。
もう少し調整すればいい感じに素材も残せるだろうが、今はそんな事をしている場合では無いのでそのままの威力で行く事にする。
魔力の板を落としながら跳ぶこと10数回、壁の色が変わり隊員達を待機させていた付近に到着。
通路に飛び移り目的の横穴に急いだ。




