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カルト集団ダンジョン事変 10

再び空洞に身を投げ出し、急降下しながら(あずま)を捜索し始めた。



降下して更に下の層。

黒くテカリのある壁になり下層に入った頃。


ようやく下が見えて来た。

その中央には祭壇のようなものがあり、遠くてはっきりとは見えないがその中央に横たわる人影が見える。


傍らには例のカルト集団の人間と思われる白い人影が見え、その祭壇を取り囲むように大きなサソリ型のモンスターが大量に蠢いている。

何故例のカルトがここにいるのか、何故あの距離で襲われないのか、何故東をここまで運んだのか。


疑問に思う事は沢山あるが今は東の安全確保を最優先事項にしよう。

幸いな事に彼女は生きている。


感じる気配的に多少の怪我はあるだろうが、魔力切れと疲労で意識を失っているだけのようだ。

問題はその近くにいるあの白いカルトの者だ。


現状1人しかいないようだが、という事は1人でここまで潜って来れるという事だ。

サソリ型のモンスターから感じる気配から、1匹1匹の危険度は5の中間程度だろうか…。


蟻と蜘蛛型のモンスターはⅢ寄りのⅡ程度だったことを考えると、このダンジョンにおいて生態系ピラミッドの頂点にいると思われる。

しかし過去にこのダンジョンでサソリ型のモンスターは確認されていない。


この事から考えられるのは見てない間に発生する様になったのか、それとも何処からか持ち込まれたのものか…。

どちらにせよあの白い人影に聞かねばなるまい。


空中に複数の魔力の板を発生させ、落下の勢いを落としながら位置を調整し音をたてずに着地する。

人影が見えた時点で気配と魔力を消していたので、人影はおろかサソリ型モンスターにも気付かれていない様子。


近くで見ると俺も見た事の無いモンスターだ。

大きさは全長2~3m程、甲殻は毒々しい紫色で、大きく鋭い一対の鋏と人の腕程の太さの鋭い尾針を持っている。


尾は1m程の長さがあるだろうか。

よく見ると折り畳みの構造になっており、実際はもっと長い事が伺える。


俺はサソリの影から祭壇の様子を見て次の行動を決めた。

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