カルト集団ダンジョン事変 8
横目で驚いた表情をする彼らを見ながら、俺は勢いそのままにダンジョンに突入するのだった。
ダンジョンに入ると風景が一気に変わる。
中は縦長の空洞状になっていて、側面には螺旋階段のように道が続いている。
ほぼ直角に突っ込んだ俺は危うく地面にぶつかりそうになったが、無理矢理方向転換して中央の空洞に飛び出し凄い勢いで下降し潜っていく。
その間にも魔力・気配察知を用いて取り残された者達の居場所を探る。
壁の所々には穴が開いており、その奥から大小様々な気配と魔力を感じるが人のものは未だに感じられない。
垂直降下しながら空中を蹴り更に加速する。
しばらく降下して壁の色が茶色から黒っぽい色に変って来た。
この辺りから壁に大きなアリや蜘蛛の様なモンスターが壁を這っているのが見える。
どうやら中層辺りまで降りて来たみたいだが、未だに底は見えない。
中層に入り少し降りた所で俺の探知に人の気配が引っかかった。
魔力が乱れ、気配も弱い事からかなり疲弊している様子。
前方に魔力の壁を張り、それを殴りつける事で無理矢理方向転換し壁に沿って続く道に着地する。
運悪く足元にいた蜘蛛型のモンスターを踏み潰してしまったが気にする暇はない。
すぐさま気配が引っかかった場所に集中的に探知を飛ばし、より正確な場所を特定する。
ここから少し上の空洞の奥から気配を感じ、全速力でそこに向かう。
真っ暗な空洞に飛び込む勢いで突入し奥に向かう。
途中現れるアリ型のモンスターをなぎ倒しながら奥に進むと、暗い中でも仄かに明るく広めの空間に出る。
その空間に広がっていたのは無数の繭。
おそらくアリのモンスターのものだろう。
等間隔に並べられた繭に囲まれるようにして傷付き倒れた隊員達が見える。
酷い者は腕や足が本来曲がらない方向に曲がってしまっている。
全員が意識を失い重傷者ばかりだが、幸い辛うじて生きている。
その惨状を見て荒ぶる感情を抑えながらも冷静になるように努める。
俺はポーチからダンジョン産の薬を取り出した。




