カルト集団ダンジョン事変 5
これはまた書類が溜まりそうだなと思うのだった。
あれから数日経ち、管理が出来ていなかった複数の廃棄予定ダンジョンを完全攻略した旨の報告が入って来ている。
通常業務に多少の負担は増えてしまっているが、前回訓練した第二部隊の面々の活躍もあり何とか最低限の業務はこなせている様子。
そして送られてきた報告書には例のカルト風の集団と出会ったという報告もあった。
個人的には即時に拘束して色々と聞きたいところだが、今の所ダンジョン対策における上からの認識は怪しい集団止まりなので今の所は一般人だ。
なので強引に拘束する事も出来ないし、出会ってもばれないように様子見に徹してもらっている。
今の所何かしらの被害や犯罪行為が確認できていないからという判断らしいが、何とも呑気な事だと言わざるを得ない。
報告書に目を通しながら考えに耽っていると、ノックをして竜胆が入ってくる。
新たな書類とUSBを手に持ちこちらにやって来る。
「失礼します。第二部隊よりダンジョン完全攻略の報告がありました。」
「お疲れ様。何度も行ったり来たりで悪いな。」
「第一部隊の者達も出払っている状況では仕方ないかと、私の本質はこちらですので問題ありません。他の部隊の者も最近の書類仕事で溜まったフラストレーションを発散できると喜んでダンジョンに向かって行きましたよ。」
「それならよかったよ、今度何かしらボーナスを与えないとな。」
「きっと喜びますよ。」
竜胆から書類とUSBを受け取る。
報告書は無事に奥多摩の人里離れた山中にある廃棄予定ダンジョンを無事に攻略したという内容で、数人の怪我人は出たものの、どれも軽傷で業務や任務に支障はないとの事。
ダンジョンに潜る際に入り口のバリケードが退かされていて、何者かが許可なく潜行した跡があった事を記した報告と手に入れた物資の目録がかなりの量書かれている。
「ありがとう。引き続き頼む。」
「はい。了解しました。コーヒーを淹れたらまた向かいますね。」
そう言うと彼女はお湯を沸かし始める。
俺はPCにUSBを差し込み中のデータを確認した。




