元教え子 東 紅 16
3番目の扉を蹴破り中へと突入した。
中を見る、中にモンスターはおらず、人が3人倒れている。
「生存者の状態を確認後、直ぐに次に行くぞ。」
「はい!」
彼等も衰弱しているが、命に別状はない。
確認後、直ぐに移動し入ってきた扉から見て左の一番奥の部屋へ。
ここにも3人の人がいたが、モンスターもいた。
彼等を囲むように浮遊しているモンスターはゴースト、奴らは魔力を介した攻撃でないと倒せない。
魔力が扱えない者にとっては非常に厄介な存在だ。
それが4体。
右手から肩にかけて魔力で覆い右に一回転。
ゴーストが漂っている位置に合わせ3割程の力で裏拳を放つ。
回転と腕の振りに寄って伸ばされた魔力が飛んでいき、1体にぶつかる。
衝突音と共に当たったゴーストはそのまま掻き消え、勢いそのままに2体目、その個体も抵抗なく消滅、3体目は少し抵抗を感じたが一瞬勢いが落ちただけ、4体目に当たって魔力は消えたが、この部屋にもうゴーストは居なくなっていた。
「…もう先生だけでいいんじゃないですかね?」
「そんな事はない、一人と二人では出来ることが全然違うからな。話は後だ、安否を確認して次に移るぞ。」
上司に言われたからというのもあるが、実際一人で出来ることは限られる。
俺の出来る範囲が広いと言うだけだ。
驚いた事に、ここにいた人達は弱ってはいたものの、意識があった。
流石に喋れる余裕は無いのか、辛そうな表情で壁にもたれ掛かっている。
「魔力欠乏の方だな、魔力剤と水を彼等に。」
「はい、キツイと思いますが何とか飲み込んで下さい。」
彼等に魔力の回復を助ける魔力剤と水を渡して貰う。
この魔力剤、滅茶苦茶苦い、錠剤になってて飲み易いのだが、飲んだあと胃から込み上げてくる何とも言えない感じが…。
「安心してください、今救助部隊が此方に向かっています。絶対に助かりますからね。」
紅が優しく彼等に声を掛けるのを背中越しに聞きながら、俺は第二部隊が早く到着するのを願うのだった。




