カルト集団ダンジョン事変 2
俺は資料を手に取りページを開いた。
書いた者は几帳面な性格なようで、とても丁寧にまとめてある。
報告書に書かれた主な内容は3つ。
1つ。
動画内の者達は一部であり、人数はもっと多く組織的である事が予想される。
どうやら組織の人員は想定されていたよりも多いようなのだ。
動画で映っていた者達は組織の一部の構成員であり、あのリーダーと思われた男は複数人いる幹部の1人であることが分かったらしい。
2つ。
この組織の者達と思われる怪しい人影が、様々な理由で廃棄予定だったダンジョンに出入りしているそうだ。
これは対策本部のミスとしか言いようがあるまい。
廃棄予定が決定したダンジョンは入り口を封鎖し、立ち入り禁止の看板を立てるだけという杜撰な管理になっているため、怪しい者が潜って行っても止める事が出来ない。
前々からどうにかしたいと思っていたのだが、如何せん人手が足りない。
ダンジョンレベルが低いだけのダンジョンなら直ぐに攻略し破棄出来るのだが、ものによっては攻略に時間がかかる、そもそも難易度が高くて生半可な実力では難しい等色々な理由と事情があるのだ。
とにかく、かの組織の者がそういった破棄予定で管理の目が行き届いてないダンジョンで何かをしているらしいことが分かったようだ。
3つ。
ある意味これが一番この組織を放っておけない理由かもしれない。
少し前から発生しているギルドや無所属の潜行者が行方不明になる事件に、この組織が関与している可能性が浮上したためだ。
これが事実なら放置する事は出来ない。
行方不明者は無事なのか、それとも…。
もしあの全身を包む白い布についていた血痕が行方不明者のものだったとしたら、無事では済んでない可能性の方が高いだろう。
どうやらいま分かっている事はこの位なようだ。
だがこの資料だけでも十分に警戒する材料になる事は確実だろう。
俺は一通り資料に目を通すと竜胆の方に視線を向ける。
すると彼女は無言で頷き、その画面を俺に見せてくれた。




