只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第二部隊隊長 巌ノ国 義重編 6
俺は昨日同様、各班の気になったところをメモに書き出す作業に入った。
3日目訓練最終日。
昨日の後半で行ったダンジョン潜行では前日の時よりも更なる連携力の向上と個人個人の実力の向上が見られた。
それは動きや判断能力等のレベルや位に依存しない、自身の能力に直結する部分が育ったことが大きいだろう。
特に新人の多い班はその傾向が強い。
やはり指針は大切だという事だろう。
彼等が俺の指示を素直に聞き入れ努力するからこその結果であり、俺のアドバイスが間違ったものでなくて良かったと安堵する。
彼らの実力は初日とは全くの別物になってると言えるだろう。
これならば今まで以上に活躍してくれるに違いない。
教える身としては嬉しい限りだ。
今後も彼等なりに切磋琢磨して強くなって行ってくれることを願う。
『只野隊長!恐れ入りますが少々よろしいでしょうか!』
「どうした?確か第8班の…。」
『狩谷です!実は折り入ってご相談がありまして…。』
「そうか。聞こう。遠慮せずに言ってくれ。」
『ありがとうございます!』
前半の訓練が終わり休憩兼治療の時間に入った際、メモを書いている俺に1人の若い隊員が話しかけて来た。
俺の返事に彼は敬礼と共に謝意を述べると姿勢を戻し語り始める。
『本日も後半は先日同様ダンジョンでの実戦でしょうか?』
「ああ、そのつもりだ。」
『でしたら今日は昨日よりも深い層での実戦を希望したいと願います!』
「やる気があるのは結構だがそれは狩谷君の意見かな?それとも皆の総意か?」
『この訓練に参加している皆の相違です!』
「…そうか。」
少し考える。
今の状態なら今までよりも深い階層でも問題なく活動できるだろうがなにぶん訓練の後だ、疲労状況等コンディション状況では後れをとる可能性も無くはない。
俺は彼の言葉に頭を悩ませるのだった。




