只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第二部隊隊長 巌ノ国 義重編 2
俺は増えた悩みの種に頭を抱えるのだった。
のんびりとした雰囲気が少し緊張を持ったものになる。
これを信じる者は少ないだろうがいないという事は無いだろう。
時代は違えどこういったオカルト的な考えは一定数発生するものだ。
明らかに冗談のようなものや、本気でそうだと信じ込み考えられない行動をする事もある。
安定してきたといっても未だに不安定な部分はある。
こういった考え、思想を持った団体が出て来てもしょうがないが、それで済ませていいかと言われたらそんな事はない。
この様に発表したという事はそれなりに規模があるのか、それとも短絡的にやった事なのか…。
後者だったら楽なのだがな。
「各隊長達に連絡しておきましょう。取り敢えずダンジョンの管理に関する警戒度の引き上げと、周辺で何か変な動きがないか調査が必要ですね。」
「まあ、今出来るのはそんな所じゃろうな。下手に厳しくすれば逆に反発を生みかねん。まったく、何時の時代も頭のおかしい奴は一定数湧きおるわい。」
「でしょうね。なので今は様子見と情報収集に努めます。くれぐれも先走らないようお願いしますね。」
「何も無ければのう。」
「…何も無い事を祈っておきます。」
表面上は笑顔で好々爺の様相だが、目が笑ってない。
部隊の者や一般の潜行者に何かしら被害が出たら容赦はしないといった様子だ。
頼むからあの団体には大人しくしていてもらいたい所存。
義重殿は怒らせたら怖いんだ。
「取り敢えず話は持ち帰らせてもらいますね、悪くない返事が出来ると思います。」
「ほぉ!なら大人しく指示に従うとするかのぉ。」
ケラケラ笑う好々爺の声が部屋に響き、先程とは打って変わって上機嫌そうだ。
一安心した矢先に、いつの間にかいなくなっていた滝沢さんが襖を開けて入ってくる。
「親父ぃ!兄貴ぃ!お待たせいたしやした!部隊訓練の準備、整いやした!」
「これはまたタイミングのよい。では行きますかな。」
「そうですね。案内をお願いします。」
紆余曲折あったがここに来た当初の目的である義重殿のお願い。
有志の部隊員に稽古を付けてくれという願いを叶えるべく移動を開始した。




