只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第四第八部隊素材納品依頼 14
気付けば先程の気まずさはいつの間にか無くなっていた。
工房を出て少し歩き上部に第一試験場と書かれた大きな扉の前に辿りつく。
ここは名前の通り一番最初期、この施設が出来た時に最初に作られた試験場だ。
研究所と工房の丁度中間にあり、当時は研究者と技術者がここでダンジョン産の未知の物質や素材を色々と試していたのだ。
残念なことながらその時色々あってこの2つの部隊はあまり仲が良くない…。
扉が開き中では数人の技術者が床に広がる様々な色が継ぎ接ぎでつながった布の様な物を点検したり、良く分からない部品を組み立てたりしている。
見た所あの布の様な物はモンスターの素材から作られているようで仄かに魔力を感じる。
周りを見てみると隅の方に魔力結晶の積まれた箱が置かれている事から、魔力結晶から魔力エネルギーを抽出して使うようだ。
サイズ的に危険度Ⅲ程度であり、工場や通信企業なんかが使うのにちょうどいいサイズと言われている。
結構な量に中にはⅡや少ないがⅣのものも見える事から、それなりのエネルギー量で集めやすいのを片っ端から集めて来たといったところだろうか。
この装置を発動するのに結構な魔力エネルギーを消費するらしい。
「お疲れさん!準備はどうだい!」
「「「「お疲れ様です!!」」」」
「隊長方お疲れ様っす!もう間もなく準備が終わりますので少々お待ち下さいっす!」
「ああ、ありがとう。よろしく頼むよ。」
「はいっす!」
土倉の声に反応して作業していた者達が活気のある声であいさつを返す。
その中からそばかすのあり茶色の髪をウルフカットにした若い青年が出て来て状況を説明してくれた。
彼の言った通りすぐに準備は整い、早速例の装置の機動が始まる。
モンスターの被膜等で造られたであろう布が床に広がり、その中央にゴテゴテとした装置が置かれている。
その装置の中央付近には小型の魔力炉が置かれ、そこからエネルギーを装置に送る仕組みの様だ。
轟々と地鳴りのような低く響く音を響かせながら中央の機械が動き始め、布が脈打つ様に動き始める。
そして数分後、そこには四角形の物体がエンジン音を立てながら宙に浮いた状態で静止していた。




