只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第四第八部隊素材納品依頼 11
俺は牙と鱗を作業台に出した後、甲殻を部屋の中央に出して置いた。
キングビートル。
全長は4~6m程あるカブトムシ型のモンスターで、危険度はⅨの中位程度でありダンジョンレベルでは最難関である未踏と呼ばれるダンジョンや、その1つ下の難易度であるベリーハードと設定されているダンジョンの最深部で生息しているモンスターだ。
堅牢な黄金色の甲殻に所々黒い斑点模様があり、裏側にはクッション性のある柔毛が生え、衝撃にも斬撃にも高い耐性を持ちながらも、外殻の全体に魔力を霧散させる機構が備わっている為、魔力による攻撃にも高い耐性をもつ。
攻撃面にも秀でていて、外殻に備わっている機構のせいで魔力による遠距離攻撃は出来ないが、その堅く重い巨躯での突進やシャベルのように平たく鋭い角による斬撃、文字通り地面をひっくり返して敵を押しつぶす攻撃は強力であり厄介である。
基本的には地面を徘徊しており、その巨躯を維持するために常に獲物を探している。
因みに主食は他の生き物の肉だが骨も気にせず食べるため、このモンスターに捕食されたら骨も残らない。
頭部には角以外にキングの由来である王冠状の突起が存在するが、何のためにあるのかは定かではない。
そんなモンスターであるキングビートルの甲殻を取り出し床に降ろす。
大きさは5m程だろうか、大きい方だと思ったが背中の甲殻だけでこれなら最大クラスの大きさだったかもしれない。
ゆっくりと降ろしたつもりだったが重い音が部屋に響く。
「切り出したいサイズに印を書いてくれないか?それを目印に切り分けるよ。」
「了解ちょっとまってて。」
そう言うと彼女は腰の道具入れからチョークのようなものを取り出し、甲殻に線を書いていく。
時折作業台近くにある机の上にある書類を見てはメジャーやあまり見慣れない器具を使いサイズを計っている事から、作りたいものは既に決まっているようだ。
俺は慎重に線を引く彼女を静かに見守った。




