只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第四第八部隊素材納品依頼 10
その顔は褐色の肌でも分かる程に真っ赤になっていた。
いつも距離感が近くて異性に対して慣れていると思っていたが、予想だにしない反応が返って来て面食らってしまった。
土倉も自分の失態に気付いたのかハッとした表情になると、飛び退いた勢いで崩れたいた態勢を整えると、水藻の研究室と同じ規模の扉の端にある端末を操作し扉を開く。
彼女の背中しか見えていないが、耳が真っ赤になっている。
何と言うか気まずい…。
大きな扉が重い音をたてながら左右に開かれていく。
中には魔力結晶から抽出した魔力を熱エネルギーに変えて素材を加工する魔力炉や作業台、ハンマーや大きなノコギリのような刃物等が並べられ、部屋の隅には色々なモンスターの素材が山積みになっている。
「いやぁ、なんとも情けない姿を晒したね。さっきの事は忘れてくれると嬉しいなって…。」
「分かった。俺は何も見てないし聞いてない。」
「恩にきるよ…。」
先程までのハイテンションと打って変わってしおらしい様子。
流石にこのままではやり辛いため、彼女の言う通り先程の事は触れずに今回のお願いを終わらせて見せたいものを見せてもらうとしよう。
「確か頼まれていた物はキングビートルの甲殻とシーサーペントの牙や鱗だったな。今出すからどこに置けばいい?鱗と牙はともかく甲殻は結構大きいぞ。」
「あぁ、助かるよ。牙と鱗は作業台に、甲殻は…そうだね加工しやすいようにカットするからこの炉の中に出せるかい?」
「了解した。だがカットするなら別に炉に入れて一度柔らかくする必要はないぞ。言ってくれればいい具合にすぐにでも分けれるぞ。」
俺の言葉が疑問に思ったのか、土倉は不思議そうに視線をこちらに向ける。
「それは出来るなら助かるけどまさか…。ならお願いしようかな。取り敢えず素材を出して欲しいかも。」
一瞬考える素振りを見せたが、何か納得した様子。
俺は牙と鱗を作業台に出した後、甲殻を部屋の中央に出して置いた。




