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只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第四第八部隊素材納品依頼 9

そう言うと彼女は俺の手を取り奥に進み始めた。



ダンジョン対策研究所の第八部隊詰所、通称 工房。

おそらくだがその奥にある土倉(つちくら)専用の工房に向かっているのだろう。


彼女に手を引かれ施設の奥へと向かう。

途中にある工房からは話し声と加工音が絶えず聞こえ、とても活気のある場所だと感じる。


彼女は余程機嫌がいいのか、今にも鼻歌でも歌いそうな勢いだ。

こんなに機嫌のいい彼女を見るのはいつ振りだろうか…。


ここ最近は制作に行き詰ってかなりピリピリしていたらしいので、それが解決したのならば嬉しい限りだ。

今回完成したものがそれ程のものなのだろう、この後説明があるのだろうか?


「今回の作品は相当な自信作みたいだな。」

「もちろん!今回の子はアタシの自信作の中でも飛び切りさ!見せる時に説明するから楽しみにしててな!」

「そうか、それは楽しみだよ。期待してる。」

「オウッ!そうしな!いやー、こんなにいいものが出来たのはいつ以来だったかな!」


相当嬉しいのか、その話を出した事で更にテンションを高めてしまったようだ。

握る手に力が入り、今にもスキップでも始めそうな勢いな程浮かれた様子。


その後も上機嫌な彼女に連れられ通路を進み工房の奥に進んでいく。

途中ですれ違う者達から驚いた顔で見られているが彼女は気にしていないらしい。


俺はいらぬ誤解をしないでくれと心の中で祈ったが、中には泣き崩れている男性職員もいたので叶わぬ願いかもしれない…。

暫らくそんな調子で進み彼女の研究室の扉の前に到着した。


「取り敢えずここで作品の説明をして素材を受け取るよ!実物は近くのテスト用の部屋に置いてあるからそこでだね!」

「わかった。」


笑顔で振り返りこちらを見た土倉の動きがそのままピタリと止まる。

俺の手を握る自分と俺の顔に視線を何度も送り、思考を巡らせているのか、または動揺からか瞬きの回数が増える。


「あれ?これアタシ……ひゃあ!?」


次の瞬間には理解が追い付いたのか、何やら小さくつぶやいた瞬間手を放し飛び退いた。

その顔は褐色の肌でも分かる程に真っ赤になっていた。

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