只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第四第八部隊素材納品依頼 5
開けた先にはここの責任者の1人である水藻 探が何時もの胡散臭い笑顔で立っていた。
水藻の出迎えによりスムーズに施設に入る事が出来た。
現在施設の長い通路を並んで歩いている。
「いやはや、願いを叶えていただけるとはいえこんな山奥まで貴方が自ら赴いて頂けるとは感激ですねぇ。どうです?最近の実験結果について職員を集めて発表会を開きましょうか?きっと皆さん張り切って自らの成果を教えてくれますねぇ。」
「実に興味深いが今はそんな気分ではなくてな。それはまた今度の機会の楽しみにしておくよ。」
「ふ~む。それは残念ですねぇ。ではその日の為に用意させておきますねぇ。」
「職員の無理のない範囲で頼むぞ。」
「それはもちろんですねぇ。」
研究が上手く行ったとかだろうか、水藻はどこか機嫌の良さそうな様子。
今更遠慮するような仲でもないので疑問に思ったので聞いてみる事にする。
「今日は何時にも増して機嫌が良さそうだな。何かいい事でもあったのか?」
「よくぞ聞いてくれましたねぇ!そうなのですよ!私の研究が実を結び新たな発見と作品が完成したんですねぇ!」
「そ、そうなのか?」
聞いた途端に待ってましたとばかりに語り出す。
まるでマシンガンの様だ…。
専門的な用語が多く早口で全ては聞き取れなかったが、要約するとこう言う事らしい。
曰く、ダンジョンのモンスターを地上に上げ養殖出来る様にならないかの研究を進めていたらしい。
またとんでもない事をと思ったが、きちんと安全マージンを取ったうえでの研究だったらしい。
位Ⅰ程度の弱いモンスターを捕獲し研究していた様子。
だが上手く行かなかった。
ダンジョンの様に空気中の魔力濃度がある程度ある場所で無いと増えない事が分かったらしい。
だがダンジョン内だと危険で管理が難しく、他のモンスターに捕食される問題もあった。
しかし百合が最近開発したゴーレム製造機、通称ゴーレムコアの開発により光明が見えたらしい。
その後もこの技術が如何に革命的か、他の使い道、この先の展望等を熱く語ってくれたのだが如何せん俺の知識はダンジョン内の事に偏っている。
新たに発見された技術や知識は専門外なため、話の大体でしか理解出来なかったが百合の研究が役に立ったようで何よりである。
俺達は質問やその応答をしながら施設の奥に向かった。




