只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第三第六第七部隊隊長訓練編 1 ※第三者視点
ダンジョン対策部隊の駐屯地内にある訓練施設内。
特殊なダンジョン素材を使い整備されたその施設の壁、床、天井は壊れても時間と共に自然に修復され元通りの白い壁に戻る。
研究者の側面も持つ第四部隊隊長 水藻が研究し発明したその素材はコストが高い事と、制作難易度の高さから外部での使用例は公式には存在しない。
そんな素材を土倉が率いる第八部隊が加工、整備して作り出した特別な施設だ。
その施設から戦闘音が聞こえてくる。
打撃音、衝撃音、金属同士がぶつかったり削れるような音。
中で激しい戦闘が繰り広げられている事が容易に想像でき、警備に就く部隊員は顔を強張らせ入り口の前を通過する。
次の瞬間通り過ぎた扉を突き破り、すごい勢いで人影が飛び出し向かいの壁に激突し止まった。
「カハッ…。」
「騎士道隊長!だ、大丈夫ですか!?」
目立った外傷は無いものの、かなりの勢いで激突したことには変わりない。
警備に就いていた隊員は駆け寄り声を掛ける。
「ハッハッハ!心配ご無用さ!警備ご苦労!俺は戻るから任務頑張ってくれたまえ!」
それだけ言うと傍らに落ちていた大型の騎乗槍を持ち直し扉に飛び込んで行った。
中は戦場の様な惨状になっており壁には至る所に斬撃や打撃により出来たであろう亀裂が走り、床も天井も似たような状態だ。
「騎士道大丈夫か?」
外から戻った騎士道に只野が声をかけるが、声のトーンから怪我の心配ではなくこの訓練を続けるかの問いだと思われる。
「ハッハッハ!問題ないさ!続けようじゃないか!」
「そうか…。蜜園と月隠は問題ないか?」
只野ははつらつとした様子の騎士道を一瞥し、仰向けに倒れ荒い息を吐く蜜園と肩で息をする月隠に声を掛ける。
「ゼェゼェ…。あ、あんたらの体力どうなってんのよ!?」
「…貴殿、修行不足だな。…この身は問題ありませぬ。」
「2時間もやってんだけど!?」
「…もう2時間だ。…1日は24時間しかない。…この間にも中々ない修業を付けてくれる貴重な時間が減っている。…疲れたなら貴殿は休めばいい。」
肩で息をしながらも何処か興奮した様子の月隠を疑問に思ったのか、蜜園が問い返す。
「あんた、今日はえらい饒舌じゃない。」
「…気のせいだ。」
本人も気付いたのかばつが悪そうに視線を逸らした。
「問題ないなら再開するぞ。」
「…ハッ!」
「あーもう!わかったわよ!」
「ハッハッハ!さぁ、続きを始めようじゃないか!」
三者三様の返事をし3人が各々の武器を構える。
只野は頷き構えをとると、手招きをする様に合図を送った。




