只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第五部隊隊長 白金 瑠璃華編 20
身につけた物には血液ひとつも付いていなかった。
無事シーサーペントを討伐し終え帰る準備に入った。
流石に大きすぎるので今は俺の鞄に詰め込む作業をしている。
討伐後、興奮した様子の白金と撮影班に質問攻めにあったが、今ではそれも落ち着いて各々帰り支度を進めている。
撮れたものは素材としてはばっちりだったのだが、現実離れし過ぎていて信じてもらえないかもと冗談交じりに言われてしまった。
それ程驚いたらしい。
白金も最初は俺に質問攻めしていたが、今では腕を組みながらぶつぶつと独り言を呟きながら思考の海に潜ってしまった。
まだダンジョン内なので油断はしないでほしいと思いつつ、彼女の学習意欲には感心する。
再現しようとしているのか、時折彼女の方から魔力の高まりを感じる。
最悪、魔力が少なくなっても俺に余力があるので大丈夫だろう。
人が折角努力している所に、わざわざ水を差す必要も無い。
片付けが終わるくらいに満足してくれると良いのだが…。
それは難しそうだな。
程無くして片付けが終わり撤収する事になる。
今回のシーサーペントは位Ⅶの下位といったところだろうか。
戦い方が大雑把で狡猾さを感じず、力任せの戦い方だなと感じた。
戦い慣れてない、比較的若い個体だったのだろう。
そのおかげで無駄に長丁場にならずに済んだともいえるだろうが、もっと強い個体を討伐した方が良かったのではないかと思わなくも無い。
まあ、何はともあれ無事に終わって良かったという事にしておこう。
「今日は満足いったか?」
俺は近くを歩く白金に話しかける。
彼女はこちらを見て満面の笑顔で答えた。
「えぇ!とても満足ですわ!お陰様で魔力の更なる深淵に触れる事も出来ましたわ!ありがとうございますわ!」
満足してくれたようでなにより。
こうして俺は1人目のお願いを終えたのだった。




