只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第五部隊隊長 白金 瑠璃華編 17 ※第三者視点
こちらに怒りの咆哮を上げシーサーペントが現れた。
その巨体から水を滴らせながら姿を現し、大きく口を開け赤みを帯びた口内を見せつけながらシューシューという威嚇の噴気音を鳴らす。
長い尾も水面を何度も叩き、自分より圧倒的に小さな人間に警戒と怒りを露わにする。
尾が水面を叩くたびに高い波が起こり水面を荒ぶらせる。
水面下では水辺の主の怒りに巻き込まれまいと他のモンスターが散り散りに逃げ、この場を離れていく。
彼は正にこの場の支配者であり絶対王者だった。
今この時までは。
「のんびりしていたところ申し訳ないが大事な仲間の願いの為、討伐させてもらうぞ。」
「Syaaaaaaaaa!」
言葉の意味が伝わったのか伝わらなかったかは分からないが、只野の言葉に反応し、圧縮した水を砲弾のように複数射出し攻撃してきた。
空を切る風切り音を伴い地面に着弾し、大きな衝突音と共にその地点に砂煙が上がる。
砂煙が晴れた後には半径1m程のクレーターが出来ていて、その威力を物語っている。
幸い只野には命中しなかったが、1歩も動かない様子を見て恐れをなしたと思ったのか、どうだと言わんばかりに得意げな様子だ。
「どうしたウミヘビ野郎。ノーコンか?全く当たってないぞ。」
「!!Syaaaa!」
言葉は伝わっていないだろうが、只野の態度に己が思った通りになってない事に気付いたのだろう。
今度は狙いすました水の砲弾が只野を襲う。
「フンッ。」
その水の砲弾に向かいあろうことか右拳を振り抜き只野は迎撃する。
魔力を纏った拳だったのだろう、水の砲弾は殴られるとその場で爆散する事無く、大きな打撃音が響きより強い勢いでシーサーペントに返っていくではないか。
「!!!?」
己が放った砲弾が返って来て驚いたからか、全く反応できずに鼻先に命中。
シーサーペントの巨体が仰け反り背中から水面に倒れた。




