只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第五部隊隊長 白金 瑠璃華編 15
世の中の需要を考えたら当然の事ではある。
それからしばらく進み、遂に目的地である深部付近の水場まで到着した。
今はその少し手前で休憩中だ。
俺と白金は問題ないのだが、撮影班には少々酷というものだ。
ベストなコンディションで撮影の挑めるようここで小休止を挟もうという事である。
周囲に魔力を張り周辺の安全を確保に努める。
俺の魔力に反応したのかいくつかの気配に動きがあった。
その反応としては、この周辺から離れだすものとこちらの様子を探る様にじっと動かないものに分けられる。
どちらが賢いとは言わないがどちらも賢明な判断だろう。
「只野さんもどうぞですわ。」
「わざわざ淹れてくれたのか、ありがとう。いただくよ。」
白金が小さな焼き菓子と紅茶を持って来てくれた。
湯気が立っている事からここで淹れてくれたことが分かる。
撮影班が囲んでいる焚火の方を見るとお湯を沸かしたであろう鍋が目に入る。
彼等は地べたに座り休みながらも、動画の確認をしたりこの後の事を話し合っている様子で、ちゃんと休めているのか少々不安になる。
その事を白金に聞いてみたら何時もの事らしいので慣れているのだろう。
彼等なりの休憩方法だと思う事にする。
少し経ち休憩を終える。
準備万端という事なので遠慮せず仕事を進めさせてもらうとしよう。
ターゲットはこの水辺に出現する危険度Ⅶのモンスターであるシーサーペント。
新幹線並みの体長を持つ巨体な水生の蛇のようなモンスターで、縄張り意識が高く気性の荒いモンスターだ。
怒るとなりふり構わず暴れまわり広範囲にその質量からなる強力な攻撃を繰り出してくる。
それに加え口から圧縮された水を吹き出したり、牙にある毒を飛ばして攻撃するといったからめ手を使ってくる。
こちらが厄介で、水は鉄板を容易に切り裂き、毒は耐性が無い者は皮膚に触れただけで神経が麻痺し動けなくなり、粘膜の薄い所(目や口内等)に触れる、ましてや飲みこむなんてことがあったら良くて植物状態、最悪即死という強力な毒だ。
全く未知の毒な為血清も無く、戦うだけでとてつもないリスクを抱えるモンスターになっている。
幸いその巨体からか生息数は少なく、水場に近付かなければ遭遇する事も無いため普通であれば遭遇自体を簡単に回避する事が出来る。
そもそもこの巨体を納められる水場はダンジョンにもなかなか無いので戦闘になる心配をする事はほぼない。
まあ、今回はあえて戦いを挑むんだがな…。
俺は心の中でそう呟き、海のように広がる目の前の水場を眺めた。




