只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第五部隊隊長 白金 瑠璃華編 12 ※第三者視点
モンスターの鋭角が目の前に迫る。
上空より只野に狙いを付けたフライングビートルの必殺の一撃が只野に命中する。
しかし重い衝撃音があったものの攻撃を受けた優人もその場から一歩も動かずにいる。
それは何故か、それは只野が完璧にフライングビートルの動きを捉え角を掴み止めたからだ。
空中からの攻撃を受け止めたため巨体が突入角度そのままで空中に浮いた状態で止められている様は少し滑稽に映る。
掴み取られた角は胸の少し前で止まり、振り解こうにも体が浮いた状態ではあまり暴れられないからか、翅や脚をばたつかせるだけでろくに抵抗出来ていない。
只野が片手でフライングビートルの突進を止めたのを見て、撮影班は信じられないものを見た様な表情で固まり、白金 瑠璃華はその様子を見て目を輝かせていた。
そんな状況でもしっかりカメラを回していたのはプロ故の意地か、それとも偶然か…。
カメラマンが状況を理解できるようになった頃には事態は次に動こうとしていた。
横目で撮影班の様子を見ている事からおそらく正気に戻るのを待っていたのだろう。
空中でもがくフライングビートルからしたらたまったものでは無い。
只野がフライングビートルの角を掴んだまま高く跳躍。
必死に羽ばたいて脱出を計るが優人が許すわけも無く無駄なあがきに終わる。
そのまま体と手首の動きでをフライングビートルを逆さまにひっくり返し、そのまま上空から地面に叩きつける様に落下。
響く轟音、舞い上がる砂塵。
「凄い音したけど只野隊長大丈夫かな?」
「上空に連れ去られた様にも見えたが?」
「流石にそれは無いだろ。」
「落ち着いてくださいな、すぐに砂煙を晴らしますわ。」
起こった砂煙により視界が遮られ状況を確認しようと撮影班が少し騒がしくなるが、瑠璃華がそれをたしなめると同時に風を生む言霊で砂煙を晴らす。
そこには奇跡的に形を保持したまま絶命したフライビートが横たわっている。
そして無傷の只野が汗1つかかず何とも無い様に立っていた。




