只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第五部隊隊長 白金 瑠璃華編 7
こうして俺達は動画撮影の為、ダンジョンに向かう事にするのだった。
撮影スタッフと合流し、車で揺られる事20分程。
かつては観覧車や水族館等様々なアクティビティで満たされ、色々な世代の憩いの場となっていた葛西臨海公園。
それは過去の事になり、季節の花や美しい夕日が見れた公園は今ではダンジョン災害で出来た無数の穴が地中深くへと人々を飲み込む魔窟と化している。
元々が公園で水辺や林といった自然が多かったことからか、虫系や魚系のモンスターが多い傾向にあり、そこそこ強いモンスターが闊歩しているのでエネルギーの元となる魔力結晶は勿論のこと、魚系は食料として、虫系の一部の素材は武器や防具、装飾品としての価値があるため実入りは結構いいダンジョンではある。
しかし、入り組んだ地形とモンスターの強さにより潜るにはそれ相応の実力がいるのが現状だ。
ここの攻略記録は対策本部のものしかなく、ギルドの者の記録では攻略一歩手前まで行った(潜った本人の談であり正式なものでは無い)というのが最高らしく、無所属では潜った記録がほぼ無い。
そのおかげで素材が高くなっている側面もあるのだろう。
しかし、高いレベルの部隊員であればアクセスのしやすさと人気の無さも相まって、訓練にもってこいの潜行難易度ハードのダンジョンになっている。
対策本部の部隊員は基本給に加えて素材等の販売額の一部を報酬として払っているので、実入りが良くてアクセスしやすく行き帰りが早い、実力も付くとここに来れる実力者からしたらまさに一石三鳥のダンジョンなのだ。
対策本部以外の人間が少ないのも今回の動画撮影の条件的にもぴったりである。
潜行用のボディースーツに着替え、声を拾う用のピンマイクを襟付近に取り付け、音声を記録する機器とそのバッテリーを腰に付けたベルトポーチに入れ固定する。
俺の動きに耐えられるよう特別仕様に改良し、かなり頑丈な仕様になっている俺専用モデルらしい。
かなりゴツイ作りをしているが、白金も開発に関わったらしくゴツイながらも中々にお洒落なデザインに仕上げられている。
刺さる者にはかなり刺さるであろういいデザインだ。
先に準備を終えた俺は他のメンバーの準備が終わるのを待つのだった。




