只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第五部隊隊長 白金 瑠璃華編 6
そのままじゃないかと思ったが余計な事は言わず俺も拍手しておくことにしよう。
先程まで深窓の令嬢然としていたのが嘘の様な変わり身であるが、このギャップも彼女の魅力と受け取ろう。
それに広報戦略としては的確な判断な為文句もない。
そこは流石に隊長といったところだろう。
世間の注目が集まっている今の段階で更なるチャンスを作ろうという魂胆だ。
「さしあたって只野さんにはダンジョンでの動画撮影の被写体になっていただきたいのですわ。この辺りは事前に知らせていた通りですわね。」
「ああ、間違いないな。」
「今回は動画班と共に私も潜りますわ。そして最低限取りたい動画は2つ、一般の方が見ても感知出来る動きながらも派手さがあり、興味を持ってもらう動画がひとつ。そしてもうひとつは只野さんの全力の戦闘動画ですわ!」
「前者は分かるが後者はなぜ必要なんだ?」
「ネットで言われてますのよ?只野さんの実力が対抗戦の時の程度のものだと。確かにそれでも十分と思われるかもしれませんが、中には間違った解釈をする方々もいらっしゃるのですわ。」
「そうなのか?」
俺の疑問に響さんが答えてくれた。
「はい、これなら自分の方が強いだの。この程度なら自分でも無双出来るといった意見が少ないながらも出て来ています。あれを見た後に言えるとは、身の程知らずですよね。」
「…身の程は分からないが逞しい事じゃないかな。」
「それを分からせるためのふたつ目の動画ですわ。ギルドや一般では討伐記録の無い手強いモンスターを実際に討伐する動画があればこんな勘違いも減ると思いますわ。」
「そういうもんか?」
「そうゆうものですわ!」
そういうものらしい…。
なら約束した手前渋る理由も無いだろう。
「じゃあ早速向かうとするか。場所や機材の用意は出来ているのか?」
「はい、ただいま準備完了の知らせが動画班より届きました。」
「フフーン。抜かりはありませんわ!」
「それじゃあ向かうとしますか。」
こうして俺達は動画撮影の為、ダンジョンに向かう事にするのだった。




