只野、隊長達のお願い聞いて周るってよ 第五部隊隊長 白金 瑠璃華編 3
豪華ながらも上品な装飾で、見るからに高そうなソファーに腰掛ける白金がそこにいた。
白くきれいな髪は白金を連想させ、まるで輝いているかのような美しさ。
透き通るような肌に深い青を帯びた瞳はまるで宝石の様。
造られたかのような完璧なプロポーションを淡いラベンダーカラーのドレスで包み、腕には彼女の結晶装備がブレスレットの形で付けられている。
金色のそれは嫌みの無い上品な色で持ち主の魅力を更に引き上げると共に、そのきめ細やかな装飾から造り手のとんでもない熱量を感じる。
物語に出てくる天使も裸足で逃げ出す程の美貌と上品さを併せ持つため彼女には対策本部の宣伝活動の指揮を執ってもらっている次第だ。
彼女がひとたび番組、動画、CM等メディアに顔を出せばその効果は大きく、出演依頼が止まる事を知らない大人気ぶりだ。
意外な事に男性人気だけでなく若い女性からの人気も高く、これは雑誌や化粧品のCMに出演しているからと予想する。
特に女子学生からは憧れを通り越して信仰とすら感じるほどの絶大な人気を博している。
そんな彼女がソファに腰掛け、こちらに来るよう手招きをして誘う。
俺はそちらに近付き、向かいのソファに腰掛けた。
机の上には3段のお洒落なケーキスタンドが置かれ、そこには色とりどりの菓子が並べられていて今からお茶会でも始まるかの様な雰囲気だ。
俺が座ると即座に白地に金の模様が入ったソーサーとカップが置かれ、紅茶が注がれる。
「改めまして、本日はわざわざご足労いただき感謝いたしますわ。」
「なに、前回の約束を果たしに来たまでさ。それにこちらこそ忙しい所にいきなり押しかけて申し訳ない。」
「いえいえ、只野さんに願いを聞いてもらえるとなれば私の時間など些細な問題ですわ。」
「そんな事は無いと思うがな。」
「そんな事があるのです。響も案内ご苦労様ですわ。」
「勿体なきお言葉でございます。」
どうやら案内してくれた男装の麗人は響という名前らしい。
俺の記憶にないという事はおそらく部隊の者ではない。
白金が最近部隊に引き入れた者か、外部の協力者か…。
どちらにせよ彼女から感じる気配に暗いものはない事と、白金とのやり取りを見る限り対策本部の害になる存在ではないだろう。
「たまには紅茶も良いな、美味いよ。」
「お口に合って何よりですわ。」
淹れられた紅茶を一口飲み感想を伝える。
俺の言葉に満足したのか、白金は嬉しそうに微笑んだ。




