ダンジョン潜行者組織代表対抗戦 48 蜂谷vs一回戦11位チーム ※三人称
場に何とも言えない空気が流れた。
そんな中回り込んで来ていたシーフの女性が鋭い横薙ぎの一撃を見舞う。
蜂谷はバックステップで最小限の動きで躱す。
「何してんのよ!毒が無いと分かったなら囲んでボコして終わりじゃない!」
「!!そ、そうだな。」
「威力も大した事ねぇ!避けるのは上手いようだが攻めまっくて分からせてやる!」
毒も攻撃の威力も無いと思いギルド連盟の潜行者チームの前衛3人は血気盛んに攻め立てる。
蜂谷は囲まれないようにすべての攻撃をひらりひらりと上手く躱していたが流石に3対1、遂に囲まれ3人に追いつめられる形になった。
「わ~囲まれちゃった~。怖~い♪」
「降参しろ。今なら怪我をしなくて済むぞ。」
「え~?嫌で~す。姫は勝てる勝負を捨てたりしないのだ♪」
「なんなのこいつ。この状況でまだ勝てると思ってるわけ?」
「うん!むしろもうすぐ決着がつくよん!姫の勝ちでね!」
「はあ?あんた何言っt」
シーフの女性が言い終わる前に彼女は横からの衝撃を受け吹き飛ばされる。
受け身も取れずそのまま地面を数m転がり止まる。
「なっ!?」
仰向けに倒れた彼女は息はしている様だが意識は失ってしまっている様だ。
急な出来事にリーダーの男は驚きその様子を呆然と見ていたが、ハッと正気に戻るとその状況を作り上げた男を問い詰める。
「楯!何してるんだ!ふざけるにしてもこんな時に質が悪すぎるぞ!」
「…。」
「おい!何か言ったらどうだ!何で黙ってr「よいちょ♥」ぐっ!」
戦闘中にそんな隙を見逃すほど彼女は抜けてはいない。
問い詰めるのに夢中になっていたリーダーの男の腹部に蜂谷のストレートが突き刺さる。
今回はしっかり踏み込み打ち込んだため、男はたたらを踏み数歩後ろに下がる。
意識していなかったこともあり結構効いたようで、腹部を抑え苦しそうにしている。
「戦闘中に油断しちゃダメでしょ~♪後ろの2人も呆然としてる場合じゃないと思うよ~♪」
突然の仲間の奇行に後衛2人は未だに呆然と動けずにいた様子。
次の瞬間リーダーの男は剣先を後衛2人の方に向けた。
「”焼却弾”」
「「!!?”魔力壁”!」」
味方の凶行に一瞬驚くも後衛の2人はぎりぎりで防御する事に成功。
しかしもう1人の味方である大楯の男が楯を前面に構えこちらに突進してくるのが見える。
「殺しちゃだめだよ♪出来るだけ優しく制圧してね~。」
そこからはあっという間だった。
元々味方だった前衛2人に後衛の2人は為す術なく制圧されてしまった。
「ご苦労様!じゃあ武器を捨てて跪いて降伏してね♪」
「「はい…。女王様…。」」
蜂谷がそう言うと前衛2人は武器を捨て膝を付き、両手を上げて降伏の意思を示した。
その光の無い瞳に彼らの意思は感じられない。




