ダンジョン潜行者組織代表対抗戦 32
潜行者が慌ててるのは分かるんだが、責任者も驚愕に目を見開いた顔でこちらを見ていた。
何故責任者が驚愕しているのかは分からないが取り敢えず事態の収拾を図る事にする。
このままでは何をするにしても始まらない。
「この事態になった原因は分かっている。ダンジョンで問題が発生し貴方方はそれを解決しようと思いこの場所に集まった。そうですね?」
「お、おう。そうだ!怪我人も出てるんだ!実力のある潜行者として助けに行くのは当然だろ!」
「「そーだそーだ!」」
この集団の代表と思われる男性が出て来て対応してくれ、それに呼応するように取り巻きが声を上げる。
実力に関して自分で言うかと思わないでもないがこちらの対応は大丈夫そうだな。
「でしたら問題ありません。怪我人は無事救出され、殿を務めた勇敢な潜行者も救助済みです。そして原因となったモンスターもこちらで討伐済みです。」
「そ、そうなのか?」
「はい。魔力結晶と素材を納品場所に置いてきたので、疑うようでしたら後程ご覧になってください。」
そう言うとギルドの潜行者達と思われる者達は周囲の者達と顔を見合わせると、納得半分不服半分と言った様子で解散していった。
残るはカメラやスマートフォンを構える面々なのだが…。
「皆さん見えますか!学校の教科書では名前しか出て来ない幻の存在が今すぐ近くにいます!」
「歴史は存在した!今私は生きる伝説をこの距離で撮る事に成功しました!」
「見ろよ皆!あの只野だぜ!やっぱ俺の方が強そうじゃね?これなら優勝間違いなしでしょ!なんかしてもらおうぜwww」
なんだこれは?
さっきまで大人しかったのに救出に向かおうとしていた潜行者達がいなくなったらこの様である。
「貴様らぁ!第一部隊隊長に失礼でしょうがぁ!そこに並びなさい!わたしの結晶装備で串刺しにしてあげますよぉ!」
「ちょ、水藻隊長落ち着てください!冗談でも笑えないですよ!」
「離しなさい!わたしは本気ですよぉ!」
「なら余計笑えないし離せないです!」
「どうどう落ち着きなよ。お兄ちゃん優しいからね、最近のメディアへの露出の低さを考えたら配信者がこうなるのもしょうがないよね。」
水藻ブチ切れである。
隊員2名と蜂谷が抑えているが無理矢理振りほどきそうな勢いだ。
そう言ってくれるのは嬉しいが余りにも感情的になり過ぎでは?
まだ公共の場で隊長と呼ばないだけ理性はあるか…。




