ダンジョン潜行者組織代表対抗戦 29
湯気の立つコーヒーの入ったサーバーとカップを持つ竜胆が鼻高々といった表情でそこにいた。
溜息を吐きそうになるが取り敢えずカップを受け取り一口啜る。
うん悔しい事にめちゃくちゃ美味い。
「お口に合いませんでしたか?」
俺の表情を見てか、先程とは違い不安そうな声と表情で竜胆がこちらを見ている。
多分だが今俺は何とも言えない表情をしているのだろう。
原因は目の前にいるのだがそれを言うのは野暮だろうか…。
取り敢えず美味いコーヒーには罪は無いので感想位は言っておこう。
「いや、今回も最高に美味いよ。店があったら毎日通い詰める位にな。」
「それならば良かったです。では何故浮かない顔をされてたのですか?」
「まあその事はいいじゃないか。それより外のあの状況は?何か知ってるか?」
「誤魔化された気がしますが良いでしょう。最高の秘書は聞かずとも察するのです。」
自分で言うか?あと多分だが察せてないぞ。
こちらの気持ちを知ってか知らずか、彼女は語り始める。
「事の始まりは我々があの潜行者のグループを無事帰還させた所からです。」
「ああ、無事帰還させれたんだな。ご苦労様。」
「この程度のダンジョンでしたら私と彼女では戦力過多ぐらいです。」
まあそうだろうな。
「それでですが、怪我をしたグループの代表である女性が帰還した途端に近くにいた他の潜行者に中で起きた事を話してしまいました。」
「…。」
「それを聞いた他の潜行者グループの反応は助けに行くという者達、動画を撮り実況を始めようとする者達、対岸の火事と静観を決める者達の3つに別れました。」
「成程。」
「私達2人は隊長が赴いているので必要ないと言ったのですが…。どうやらギルドの方々は挑発と受け取ってしまったらしく意地でも潜るという勢いで…。無所属の方々もあまり無い状況に興奮してかギルドの方々に同調するかの様でした。ここまでで質問はありませんか?」
何となくだが話が見えて来た。
これならば思っていたより簡単に事を納められそうで、俺は胸をなでおろす。
取り敢えずまだありそうなので話を聞くとしよう。
俺は問題ないと頷き話の先を促した。




