ダンジョン潜行者組織代表対抗戦 27
俺達はダンジョン外へと無事帰還した。
帰還した俺達を待ち受けていたものは騒がしく言い合う者達の姿だった。
義憤に駆られた様な表情で突入しようとしているギルドの者達と各々の撮影道具を構え潜ろうとしている無所属の潜行者達と、水藻、蜂谷の二人と二番隊の警備の者達がそれを防ぐ形で対立している。
「だ~か~ら~!今何も分からない状態で潜っても余計にこっちの手間が増えるだけなんだって!珍しい状況で実況したいのは分かるけど、その程度の実力で行かれると普通に迷惑なんだって!」
「ふざけるなガキ!何が起こってるのか撮らせろ!バズのチャンスだろ!」
「そーよそーよ!対策本部かなんか知らないけど映像の独占何かしてんじゃないわよ!」
「そんなんじゃないってさっきから言ってんでしょうが!バーカ!バーカ!ザーコ!ザーコ!ベロベロバー!」
「ちょ、蜂谷さん!?」
「「このクソガキッ!」」
蜂谷が相手しているのは無所属の者達で、状況が理解できていないのか?救出が間に合ったから良かったものの、間に合ってなかったら相当不謹慎な事だぞ?
あと蜂谷、君はもう少し言葉を選びなさい本当に子どもみたいだぞ…。
「全く困りますねぇ。君達の気持ちは分かりますが今誰が潜っていると思っているのです?あの方が動いているのに犠牲者が出る訳ないんですねぇ。そんなに知能が低いとは思いませんでしたねぇ。」
「何だとこいつ!別組織の頭何て信用できるか!俺達がさっさと救出してきてやるってんだよ!」
「そーだそーだ!さっさと道をあけろ!」
「はぁ、全く。君達がどれ程の実力を持っているかは知りませんし興味も無いですがねぇ。少なくても束になってもわたしにも勝てないのは確かですねぇ。その程度の実力ではあの方の邪魔、迷惑ですねぇ。回れ右して大人しく待つ事をおすすめしますよぉ。」
「水藻隊長!言い過ぎです!」
「言い過ぎ?事実ですよぉ?」
「「てめー!表出ろや!」」
「もう表ですけどねぇ。」
これは酷い…。
よりにもよってこの2人が説得する立場で動いているとは。
案の定火に油をリットル単位どころかガロン単位で注ぎ続けている…。
このままでは大炎上待ったなしである。
「…月隠。」
「はっ、ここに…。」
近くに気配を感じたので呼べば、背後で片膝をついた月隠が現れ口布に遮られ曇った声の返事が返って来た。
「状況を説明してくれ。難しかったら竜胆は何処にいるか教えてくれないか?」
「…御意に…。」
月隠は少し思案した後、この状況を一番把握しているであろう彼女の居場所を教えてくれた。




