ダンジョン潜行者組織代表対抗戦 26
そして次の瞬間少女の小さな口から絶叫が響いた。
冬野さんはどうやら俺の事を本当に知らなかったそう。
どうやら一般の部隊員内の代表で、隊長格が出て来る、しかも俺を出してくるまでするとは思っていなかったらしい。
初日の開会式の時に説明があったのだが、彼女は当日緊張でお腹が痛くなりその後の予選からしか参加していなかったとの事。
今回のメンバーはあの4人組が元々のチームで、あと1人を募集していた為そこに参加させてもらったらしい。
なんでも、前に蜂谷から見せられた掲示板とやらで無所属の潜行者達がメンバーを募りこの代表対抗戦に参加しているそう。
本当に代表とは何ぞやといった具合だ。
無所属の彼等は言わば個人経営の様なものなので自らが代表と思えば代表とも言えなくも無いが…。
余りにも無秩序過ぎやしないだろうか?
その分競争力が上がり実力のある潜行者が生まれてくると思えばありなのかもしれないが、何かあった際は完全に自己責任になるのであまりお勧めはしないが…。
対策本部では所属しているものにはある程度の保証をしているが、他所属の者には行方不明者の捜索や救命活動、年に4回ある初心者演習と免許の発行位しか施行していない。
対策本部はダンジョンを管理・取締りをする組織であり、保険会社などでは無いからだ。
事故等で警察に行っても保障はしてくれないのと大体一緒である。
なので保険会社があればと思うだろうがそんな会社は一切ない。
そもそもダンジョンに潜っていては既に亡くなっているかもわからないし、そもそも保険会社の負う破綻のリスクが高すぎる。
最近の生命保険の規約にはダンジョン潜行免許証保持者は除くなんて文言も記載されているらしく、ダンジョンに潜る事のリスクを考えたら当然の帰結である。
等と思考を巡らせながら歩いていると随分と入り口近くまで戻って来たようだ。
俺達はダンジョン外へと無事帰還した。




