ダンジョン潜行者組織代表対抗戦 24
少女が動けるようになるのを雑談しながら待った。
それから少しして彼女の様態は回復し、今は帰還すべく入り口を目指しダンジョンを歩いている。
待っている間の雑談してたのが良かったのか、動けるようになる頃には普通に話せるくらいには信頼関係を築けた様だ。
隊の者達の様に抱えていてはこうはならなかっただろう。
というか足が痛すぎて緊急時以外あまり負担を掛けたくないのが本音だろうか?
普通なら急いだ方が良い状況だが今の所強力なモンスターの気配は無く、魔力もいつも以上に安定している。
そのためそんなに急がなくても良いだろうという判断である。
「そ、それにしても本当にあの人達が無事で良かったです。途中で対策本部の方々に出会えたのは幸運でしたね。」
さっきまで戦闘をしていたからか、ギリギリで九死に一生を得たからか、それとも携帯食が美味しかったからか、原因は良く分からないが何やら情緒がおかしくなっている様子。
少し前に外で会った時の大人しそうな様子が嘘の様である。
「そうですね。それもこれも貴女が殿になって耐えてくれたからです。お陰で無事に救助出来ましたし、迅速に助けに来られました。普通中々出来ない判断ですよ。」
「きょ、恐縮です!あの時私必死で、怪我した人を逃がす事しか考えてませんでした…。助けに来てくれて本当にありがとうございます!」
そう言って立ち止まり直角に頭を下げる少女。
俺は肩を掴み姿勢を戻させる。
「ダンジョン内で何かあった時に対応するのが我々の仕事ですから。むしろ遅くなって申し訳ない。そのせいで結晶装備をダメにしてしまいました。」
「い、いえいえ!気にしないで下さい!あの状況で生きてるだけで奇跡みたいなものですから!お兄さんが気にしないで下さい!」
何ていい子なんだろうか。
受付に意味の分からないクレームを入れる者達に爪の垢を煎じて飲ませたい…。
思いがけずそんな事が心に浮かんでしまった。




