ダンジョン潜行者組織代表対抗戦 22
そしてその猛攻を必死に防御し耐えるあの少女の姿があった。
姿を確認し生存に安堵した次の瞬間、カマキリの猛攻を凌いでいた小楯が魔力の光を伴い砕け散る。
結晶装備の耐久限界か…!
結晶装備の盾が壊れ絶望の表情を浮かべる少女、勝利を確信したからか三対のうち一番大きな2本の鎌を大きく振り上げるカマキリのモンスター。
今まさにその命を刈り取ろうと鎌に力を入れて、その音がギチギチと力を溜める音がここまで聞こえてくるようだ。
無論そんな事はさせない。
小楯が砕けた瞬間には全力で脚に魔力を込めている。
脚から筋肉が千切れる様な嫌な音が聞こえるがそれがどうした、そんなもの気にしていたら救えるものも救えなくなる。
膨大な魔力で地面を蹴り前に出る。
後ろの方から俺が踏み出したことで起きた爆発と空間を切り裂く音が聞こえてくる。
俺がいた地面にはでかいクレーターが出来ている事だろう。
一足にカマキリのモンスターに接近し全神経を魔力操作に集中する。
討伐するにしても少女とモンスターの距離が近すぎて下手な倒し方をすると重傷を負わせかねない。
カマキリが飛び散らない形に討伐出来る為、瞬間的に右拳に魔力で打撃の威力に方向性を持たせる。
奴はまだ俺の接近気付いていないのか、それとも気付いていているが目の前の少女を優先しているのか。
どちらかは分からないがそんなことはどうでもいい。
真横から胴体目掛けて空中で拳を溜め、スピードと体重を乗せた右ストレートを放つ。
直撃した瞬間風船が破裂したかの様な音と共に胴体が消し飛び逆側の壁に青紫色の染みが出来た。
少し遅れて振り上げていた鎌と頭が落ちてくる。
絶命した事に気付いてないのかしばらくカマキリの目がきょろきょろと周りを見ている。
虫系のモンスターは生命力が高いが頭だけでもしばらく生きてられるんだな…。
少女を庇うように間に入りながら筋繊維が千切れて痛む足に再生を促進する魔力を纏う。
部隊員の筋肉痛にも効いたのでこれで問題ない程度には動けるようになるだろう。
少ししてカマキリのモンスターの目が濁り生気が失われた。
俺は周囲に魔力と気配が無いことを確認した後、少女の安否を確認するために振り返った。




