ダンジョン潜行者組織代表対抗戦 21
俺の中で何かがカチリと鳴る音がした。
何が原因なのか、それとも全ての嚙み合いなのか。
普段だったら同じダンジョンに潜っていてそのモンスターの出現に気付かない事などあるだろうか?
いや、無い。
何なら今は件のモンスターの気配と魔力を確かに感じているし、今ダンジョンに潜っている潜行者の気配もしっかりと感知する事が出来ている。
そしてモンスターの近くで戦っているであろう例の少女の気配も…。
何故今まで気づかなかった?俺だけでなく竜胆や蜂谷も気付かなかった事も違和感がある。
何かがおかしい。
だが詮索は後だ今は少しでも早くあの子の元に急がなくては…。
俺は竜胆に彼等の護衛を任せ、目的地に向かい全力で向かっている。
気付いてみれば今潜っている者達に異様な魔力が纏わりついている。
粘っこく、悪意に満ちた魔力だ。
この違和感を感じるまで気づかないとは何たる失態だろうか、少し前の自分を殴ってやりたい。
しかもこの魔力、俺の魔力操作を妨害してきている。
俺が気付いたことを察して邪魔をしてきているようだ。
これも件のモンスターの能力の1つなのだろう。
本当に厄介な事この上ない。
進む俺の目の前に大型犬程の大きさのカマキリ、ビッグマンティスが3体立ち塞がる様に現れる。
勿論いる事は分かっているので横薙ぎに魔力の刃を飛ばし一蹴する。
重い物が落ちる音を背に奥へと進む。
進むほどにカマキリの数は多くなって、中には少し進化した個体もいるが関係ない。
悉くを蹴散らし進む。
どうやら俺は相当腹が立っているようだ。
怒りながらもどこか冷静な自分が自己分析をするという不思議な感覚になっている。
怒りを超えたら冷静になるというものがあるがあながち間違いでは無いかもしれない。
目の前のカマキリの頭をサッカーボールにして壁に染みにし、少女が戦う場所に着く。
そこには俺の予想通り、ビッグマンティスの倍ほどの大きさと長さの違う3対6本の鎌を携えたカマキリ、キラーマンティスがいた。
そしてその猛攻を必死に防御し耐えるあの少女の姿があった。




