ダンジョン潜行者組織代表対抗戦 6
何か問題が起こらないか監視していたが、予選は順調に進んでいった。
他の参加者を見ていると、召喚されたゴーレムに結構手こずっている様子。
見た感じゴーレムの強さは位Ⅲの中間といった所だろうか…。
この間の動く鎧より少し強い程度だが、よくもまぁこの短時間でこのレベルの召喚媒体を作れるようになったものだ。
報告をもらってから1週間程度しか経ってないのに既にある程度量産している事に驚きを隠せない。
「これが天才か…。」
「?何か言ったのだよ相棒。」
「いや、何でもない。」
ふとそんな言葉がこぼれる程には驚いているが、心配もある。
この技術を政府や外国はどう捉えるかと言う事だ。
召喚系の言霊がそんなに普及していないのは入手の難易度と運用コストが高い割にそこまで強い効果を発揮出来ないからだ。
苦労して手に入れても中身がビックラットやビックフロッグではおとり程度でしか役に立たないし、定期的に魔力も補充しなくてはならず、しないと媒体が砕けてしまう。
大変だし面倒。
それが召喚系の言霊の一般的な評価であり、昨今のコスパやタイパを気にする現代人には合わないようで、使用者も限られることから潜行者からもハズレ扱いを受ける事もある。
ある程度の深さを潜る様になったらある程度有用なモノも手に入るのだが、この情報は公開されて無いので民間ではあまり知られていない事だろう(ギルド連盟の方も上層部しか情報を共有していない)。
中には何か勘づいている者もいるだろうが、それはそれである。
だが、今回百合が量産に成功してしまった。
このイベントで大々的に露見した事で今後こちらの方にも注目が集まる事だろう。
中には邪な考えで近づく者も出てくるだろう…。
勿論彼女がそこを何も考えて無い事は無いだろうが、もしもの場合は此方から護衛を出すの事も考えないといけないな。
俺は今後起こりえるトラブルに備える為、思考を巡らせるのだった。




