ダンジョン潜行者組織代表対抗戦 2
俺は空を仰ぎ見て少し前の事に思いを馳せた。
それは少し前に俺が隊長室で書類を片付けてる時の事だった。
傍には優秀な副隊長(自称秘書)もおり俺の仕事をサポートしてくれて、もうそろそろお昼の時間だなと言う頃。
俺がサインを書き、竜胆がその書類を整理する。
2人が仕事をする以外の音がしない平穏な時間は突如部屋に駆け込んできた者の騒がしい音によって打ち砕かれた。
「大変大変お兄ちゃん大変!SNS見た!?なんだかスゴイ事になってるよ!」
「俺に妹はいないはずだが?」
「…。蜂谷さん何度も申し上げておりますがその様な呼び方でなくちゃんと隊長と呼びなさいと言ったはずですよ。」
「えぇ、こんなに可愛い姫ちゃんが慌て来たのに第一声それ?」
入ってきた瞬間騒がしいこの女性は俺の部下の蜂谷 姫。
蜂蜜の様な黄色い髪に黒い瞳、童顔で背が低く下手したら小学生に間違えられそうな体形をしているがれっきとした成人女性である。
彼女が慌ただしいのはいつもの事なので俺達の反応はこんなものだ。
竜胆も毎回の事なので頭が痛そうである。
「それで、そんなに慌ててどうしたんだ。」
「あ、はい。実は昨日ネットサーフィンしてたら今度ある対抗戦の記事があって、何だかとんでもない参加者数になるみたいな。」
「まあ特に制限はしてなかったからな。」
「それはそうなんですけど見て下さいよこの失礼な文言に動画!」
そう言って突き出されたスマートフォンの画面を見るとそこにはネット掲示板で無所属の潜行者の書き込みやダンtuberが動画で挑発するような文章や動画が散見された。
そこの掲示板や動画ではそれに関する批判や肯定、煽るようなコメントがかなりの量書き込まれ、とんでもない盛り上がりを見せているのが分かる。
「何と言うか…。しょうがないのかもしれないが凄く注目されている事はわかった。」
「そんな感想しか無いとは…。ネット見ない人はこれだから。この動画とか色んな意味で凄いよ。無敵の人って感じ。」
「貴女は毒され過ぎです。少しは自重しなさい。」
俺は蜂谷のおススメする圧に苦笑いを漏らしながら流れていく動画や文章を見せられた。




