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ダンジョン潜行者組織代表対抗戦

只野 優人の独白 Ⅵ

角の生えた白馬、物語に出てくるユニコーンだろうか。

話通りだとしたら俺はあの角で刺し貫かれて殺されるかもしれない。


冷静に考えて魔力量と気配の感じを見る限り戦ったら俺が勝つことは目に見えているのだが、目の前の白馬はじっと俺を見つめ動く気配はないし、ここにしては珍しく敵意の様なモノを感じない。

俺も無駄な殺生をしたい訳では無いので少し様子を見てみる。


白馬も俺に敵意が無いと察したのか水を数口飲むと背を向け、向かいの森の中に姿を消していった。

この時は不思議な奴もいるものだと本来の目的である水を汲んで、その日は帰路に就いた。


運命か何かか、俺は今後も何度かこの白馬とは顔を合わせる事になる。

次に顔を合わせたのは森の中で周辺の状況を知る為に周辺で一番高い木に登った日。


高さ40mに届くかの様な高さととんでもなく太い幹を持つその木は頂点付近に明るい黄色の小玉スイカ程の大きさの実を付ける。

外皮はとんでもなく堅いが、今の俺なら問題なく割って中の赤く甘い身を食べる事が出来た。


中の身はジューシーでとても甘く俺の偶の楽しみになっていた。

その実を1個取って降りると、その先にあの白馬が静かに佇んでいた。


降りる際に見た時はそこに居なかったはずだったので怪訝に見ていたら、その白馬もこちらをじっと見て動かない。

よく見てみると俺の持っている木の実を見ている様だ。


「久しぶりだな。どうしたんだ?これが欲しいのか?」


そう言うと彼?彼女?は肯定したように短く嘶き頭を上下させる。

言葉が通じたかの様な動きを見せる白馬に少し驚くも意志の疎通が出来た事に何だか嬉しくなり、木の実を渡す事にした。


「結構堅いけど割れるか?」


心配して声を掛けたら頭を振って否定されたので割って白馬に咥えさせる。

木の実を受け取ると白馬は感謝するかの様に頭を下げて振り返り森の中に消えていく。


その日以降白馬と出会う機会が増えた様に思う。

何とも不思議な隣人が出来たものだと少し嬉しい気持ちになった。

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