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とある天才の希望

そしてダンジョンが発生してから約半年後、ダンジョンからの生還者が世間を騒がせる事になる。



彼が生還しダンジョンから得た道具や食べ物等の内部の情報は一度入る事を諦めた政府を動かした。

実際に動くのは隔離されていた人達だったのだが、その人達が結果を出すと政府は更に動員人数を増やしダンジョンの探索に力を入れた。


中には10歳にもならない少女もいたという。

この時いかに切迫した状況だったのか、対応していた人間の苦悩が目に浮かぶ。


そしてダンジョンからもたらされた物の中にボクの求めていたそれがあった。

水晶の様な透明な結晶体 魔力結晶、それは当初キレイなだけで使い道の無い物と思われていた。


ボクも最初はただのキレイな鉱石の類だと思って特に注目して見ていなかった。

そんな物より自分の理論を完成させたい一心でひたすらに机に向かってペンを走らせていた。


そんな日を続けていたら急に親に呼ばれ今の研究を止めて欲しいと言われた。

自分でも生産性の無い事をやっている事は理解しているが、それでもこの研究を手放すなどボクには出来なかった。


これは今のボクの全てだから。

ボクは両親に書類を処分すると嘘を言って鞄に詰め、無謀にも親に内緒で家を飛び出した。


行く当ても無くさ迷い歩き疲れたボクは目に入った公園のベンチに腰掛け書類を広げ眺める。

何度も書き直してボロボロになったそれは今までの自分の努力の塊でありボクの全てだった。


今まで努力してきたものを簡単に捨ててくれと言われボクはあの教授に会った日を思い出しまた泣いてしまった。

そんなボクに影が差し顔を上げると若い男性が正面に立っていた。


黒髪黒目の特徴の無い顔立ち、中肉中背で一見細そうに見えるが目の前の彼が実際はとんでもない力を持っている事を世間は知っている。

今世間を賑わすかの人、只野 優人が目の前に立っていた。


「どうしたんだ、今にも泣きそうな顔をして。俺で良ければ相談に乗ろうか?」


驚いて固まるボクに全く悪意を感じない本当に心配した表情(かお)と声色で彼はそう言った。

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