東京メトロ浅草駅ダンジョン 24
思っていた通りの内容に俺は肩をすくめて答えた。
取り敢えず俺の一存では決めかねるため一度持ち帰る事を美白に伝え池の調査を開始した。
持ち帰るとは言ったが俺としては彼女にここまでしてもらって断るのは申し訳ないのでこの話を受けようと思っている。
許可が下りるのかどうか?それは今回の調査結果とその調査の際にギルド連盟の代表の協力があった事を前面に押し出して俺が話せば高確率で通るので大丈夫だ。
問題は美白の話を聞く限り各組織数人ずつの代表を選出しないといけない様で、誰を選ぶかも考えなくてはならない。
何しろ初の試みであるためどの様に選出していいか分からない。
美白曰く相手方の自尊心をへし折る程度には実力差を見せつけて二度と立ち直れないくらいにはしたいらしい。
その組織の者の何が彼女をそこまで駆り立てるのか分からないが、彼女の表情や言葉の端々に感じる感情から相当腹に据えかねた事をされたのだろうという事は分かった。
紆余曲折があるようだがその様なイベントを考えられる程民間にも余裕が出来た事は悪い事ではない、むしろ喜ばしい事なのではないだろうか。
少し前では考えられなかった事で、当初普通の民間人がダンジョンに潜るという行為は生活に困窮した者が命を懸けて最後のチャンスを掴むために潜るという様なものだったからだ。
今でこそ各隊長達の活躍により安全性と確実性が上がり、弛まぬイメージ向上作戦のお陰で今では免許さえあれば学生でもアルバイト感覚でダンジョンに潜る時代になった。
そうなってくると皆気になるのだろう。
現存の組織の実力がどんなものなのかと、幅を利かせるほどの実力があるのだろうかと。
中には運良く上手く行き自分の実力に見合わない思考をする者も出て来る事は想像に容易い。
つまるところ良くも悪くも結局は人間の好奇心の成す事柄なのではないだろうか。
経緯が経緯だけにあんまり褒められたものではないが…。
兎にも角にも俺達は無事に池の一次調査を終え後日追加の調査をすることにし、美白と別れた後本部への帰路についた。




