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2.私、10歳。私の護衛騎士は面白い

「ロイと申します」

「まだ歳は17と若いですが、剣の腕は確かです」


バシッバシッ


 ノウェール家の騎士団の団長は、息子だというと彼の背を叩きながら紹介した。


親父、うぜーよ!


 という彼の心の声が聞こえたが、きっと気の所為だろう。



✻〜✻〜✻



「ハァ、ハァ、ねぇ、どうかな?嘘偽りなく言って欲しいのだけど」


 剣の前の段階である木の棒を振り終えた私は、ロイに訪ねた。


「向いてないっすねぇ」


 兄と同じ学校だったというロイは、ヤンキー座りをしながら気だるげに答えた。楽にしてとは言ったけど緩すぎじゃない?


 確か、飛び級で卒業したと聞いたから優秀なんでしょうけど。気を取り直して再び質問してみよ。


「努力しての見込みは?」

「正直、センスは少しで良いんですよ。ただ、お嬢は、まったくソレがないっすね」

「……そう」 


 アナタ、最初から気づいていて素振りを何十回もさせたわけ?


「体術はどうっすか?」

「それだって、センスが重要なんじゃないの?」


運動神経に問題があるって事よね。


「いえ、目的が違うんすよ。この場合、戦う為じゃなくて逃げる隙を作るのが目的っす。いわば生きる為の技、すなわち生存率を上げる感じっすね」


生きる為


 それって……なかなか大事じゃないか!


「うしっ!体術やります!」

「プハッ」

「何?」


笑う要素、何処にあった?


「お嬢は、生き急ぐのが好きっすねぇ」


必死だよ。


 もしかしたら家が傾き、この生活がなくなるかもしれない。


 もしかしたら、突然一人で生きていかないといけなくなるかもしれない。


 もしかしたらを考えると早いうちに出来ることは取り組んでおくべきだ。


「んー、いいっすよ。今からやりますかね」


おぉっ!素晴らしい。


「まずは、敷地内を早歩きで2周するっす」

「歩くだけ?!」


 もっと、こう、シークレットな鍛錬とかないの?


ピコン


「アタッ」


 大事なおでこにデコピンするな。


「いいですか?お嬢に必要なのはよく寝て、よく食べ、適度な運動っす。まずは基礎っすよ」


 それ、やってるよ。たまに夜更かしはするけど。


「焦らなくて大丈夫。夜も警護をしているから安心して眠れるっす」


何で夜が怖いって知ってるの?


「大丈夫っすよ」


私、中身は25歳なのよ?いえだったと言うべきかしら。


「じゃあ、いつも何が良いか理解はできないっすけど、ちゃんとこなせたら、描いていいっすよ」


 実は、私は、手が好きなのだ。スラッとした手、シワシワな手、何かをしている時の手つきにとても惹かれる。


 そんな変わった趣向をロイは呆れているものの、馬鹿には決してしなかった。


 彼の手の指は騎士らしく節が太く手のひらは握りだこで硬くなっている。


若いのに、貫禄がある手だ。


「長めに時間とって良い?」

「呼び出しがなければ問題ないっす」


 じっくり見たい、描きたい。それには、今日からノルマとなった運動をさっさと始めなければ!


「うしっ、じゃあ歩く!」


 ご褒美により俄然やる気がでてきたぞ。


 私は、早速手を堪能する為に…いや、体術を習得する為に気合を入れた。



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