虐げたかった須らくへの愛①(2024/7/2改訂)
毎日投稿です。1000字程度になります。文字数は、半年後には一話3000字を目指しています。お付き合いくだされば幸いです。
では、始まりの詩を。
病人にはリンゴのポタージュがお似合いだねえ。
愚か者は遺書を抱えて揺り篭で眠りなさい。
慈悲を受け取るには貴方は余りにも幼過ぎる。
はるか昔、まだ宇宙すら産まれていない頃。世界は、何か匂いのようなもののする、形ない概念の世界であった。つまり、心の感覚しかなかった。人は触れればそれが温かいか冷たいか、固いか柔らかいかが刺激としてわかる。しかし、その世界には思考しかなかったのである。なんとなーくの世界だったのだ。そこには、「勝者の真」という尊敬、慈悲、権威、栄光を是とする主と、「敗者の真」という愛、運命、誇り、勇気、希望を是とする主がいた。この二人の主は反発し合い、また学び合いながらお互いを過ごしていた。勝者の真は敗者の真を疎ましく思い、敗者の真は勝者の真を仲間の様に思っていた。
ある日、自らを傷つけ続ける、つまり、悦に浸り自己を他者より優れているという、自分の精神的テリトリーからの他者の排斥を続ける勝者の真をどうにも助けたくなった敗者の真は言った。
「なあ、勝者の真よ。君たちがもっと豊かになる方法を思いついた。私達、敗者の真の世界を(土)と名付けないか?そうすれば、勝者はより豊かになり、敗者はその土台にならざるを得なくなる。いいかげん、勝ち者、負け者なんていうくだらないものに煩わされるのは飽き飽きなんだ。」
「そうだな負け者よ。栄光を知らん君たちは不憫だ。だのに君達ったら俺たちは、ほとんど幸せだなんて言う。是非そうしよう。」
「キヒィッ・・・」
どちらかは分らないが、どちらかが卑しく笑った。満面の笑みで。そして両者は鼻を鳴らし、これで清々すると一心地着いた。
こうして、二人の主の世界は融合し、思考だけの世界から質量を持った映像である世界、つまり地球という宇宙の一部が産まれた。そして、幾星霜経った後。
✖✖✖✖「あぁ、嫌だなぁ。。。」
✖✖✖✖✖「言ったな?では始めよう。あまねく全ての存在が己を神とあがめる世界を。。。」
さて、これはどちらが言ったのやら。
種明かしは終わりです。ではここから謎解きをご一緒に。ゴムきっしょ(臭い)に。
______________________________________________
「俺は餓狼、飢えた気高き狼が、己が全てを賭けて他者を喰らうという意味の名前だ。勝者の真様に名付けて貰った。此度の戦いの最大の功労者として、この戦勝書の序文を書くを賜るに至った。まあ、まーま零度。しかし冷えるな。最近の気候はおかしい。まあいい、俺は頭を使う物書きは不得意なので、慈悲の大貴公に物言いを手直しして書いて貰っている。しかし、最期、奴の息の根を止める時はひやひやした。攻めは最大の守りだと言うが、あれを見るとそうも思えなくなる程、壮絶な気迫だった。魂器がなければ今頃は。。。それはそうともう飽きた。酒池肉林に戻るとしよう。」
その日出来た分をアップします。
連載期間は大体一年、大方30万字くらいです。
毎日乞うご期待!!!
では、終わりの詩を。
九重の桜が咲いた頃。
十三色の虹が山々に拡く掛かった。
永久の平和よ、己を超えるために。