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86.疑い

呪術師の男2人と女、計3人が話している。


「よぉ、デテリオ。久しぶり~」

「お久しぶりです。ペンタスさんと、ドローニさん。やはり、クァダバルの奴は居ないのですね…」

「死んでんじゃねぇの?」


「確かディーファンに行ったわよね…あそこはグリッチャーも何人かいたでしょ。アレの死体も使えるアイツが簡単に死ぬとは思えないわ」

「アホだから死ぬだろ」

「アンタ…。まぁ、そうね。死んだと考えて動いた方がいいかもね」

「クァダバルと、ディーファンに派遣していたグリッチャー、その下部組織であったディーファンの元管理組織、いずれも連絡がつかないのです。奴の、コープス研究への貢献は計り知れない…。一度、ディーファンに直接行くべきか……」


「今ある以上のコープス呪術が必要か?充分だろ。魔法陣は俺達でも描ける」

「……そうですね。コープスはあくまで手段の一つにすぎない、

それに最近、かなり使える奴らが合流しましたからね」

「あぁ、モンスター化の魔法薬を作ってた奴らだっけ?

わざわざ亜人コープスまで貸し出して、随分気に入ったのね」


「元々はアルカンダルに入り込むためのルート作りでしたが、そちらは失敗しました。ですが、あの魔法薬を作れる才能は素晴らしいですから。少し、扱いづらくはありますが」

「最近だと、もう一発でモンスター化すんだろ?おっかねぇ。俺は関わりたくねぇな」

「くっく…。モンスターになるもの悪くないですよ?人間の三大欲求が4つになるようなものです。喜びが増えるんですからね。ま、たまに面倒ですが」

「ぎゃはは!!殺しを性処理みてぇに言ってんじゃね~よ!」

「アンタ、その性格でなんでモンスターじゃないのよ…」


「そのインザルから得た情報ですが、サンロックが独自に悪魔を召喚した、という線が怪しくなりました」

「怪しいって、どっちの意味よ」

「まだ半々と言った所ですかね」

「半々?そもそも無理だって話だから、グラスエスを落とそうってんじゃないの?」

「そこの確証が得られてないと言う話です。それにインザルの部下が、ソレが普通に人と行動しているところを見たと。しかも体当たりでサイクロプスを殺したらしいのでね」


「体当たり?なんだそりゃ…」

「やっぱり、悪魔憑きの線が一番強いんじゃない?」

「そう、ですね…。ただ、それを見たのはビービムルという、ディーファンから近い村辺りだったらしいのです」

「おいおい、そいつがクァダバルもやったって話か?」


「解りませんがね…奴が負けたとしたら、あり得るかと思ってはいます」

「悪魔憑きが出たんだとしたら、あのお方に話を通した方が良いんじゃない?」

「………せめて何らかの確証を得るまで、話したくはないですね…」


「もう実害を被ってるかもなのに駄目なのか?」

「誤った情報を渡すのが、一番危険なのですよ…。私がね」

「ふ~ん。じゃあまぁ、グラスエスの話に戻そうよ」

「そうですね…」




――――――



エイチャス村を通り過ぎ、日も暮れて来たので、

公道を逸れてテントを張った。

丁度その時、ママルの背後にメイリーが現れ、ママルを抱き上げる。


「ママルちゃ~んっ!」

「わっ!!ちょ!!び、びびったぁ!!!」

「えへへ、ごめんね」

メイリーはそう言いながらママルを地に降ろす。


「お主、急に出て来るのだな…」

「そういうスキルなのよ?脅かしてごめんね?」

「折角なので、スキルについてもっと色々聞かせて下さい」

「…えっと、何を話したらいいのかしら…」


「闇の中ってどんな感じなの?外の情報は何か入って来る?」

「あ、えっとね、中は、なんかお風呂の水が、重い感じよ!」


「まぁ、水の中の様な所という事かのう…」

「それとね!何にも見えないし、聞こえないわ!でも、動いてるのは解るのよ!」


「えっと、それは、どういう」

「狙った場所にも行けるけど、誰かの所に潜るでしょ?そしたら、その人が移動してるかどうかは解るの」


「なるほどなぁ…。めちゃくちゃ便利だけど、不便だね」

「でも、おかげで皆に付いて来られたから、嬉しいわ!」

「そうだねぇ…今、移動が止まったから出て来た感じかな…」


「そう!あとはね、こうしてぇ…」

メイリーは両の掌を合わせて、力を込めてから左右に開くと、

粘つくように赤い糸がいくつも引かれる。


「おぉ…蜘蛛の糸みたい」

「これをスキルで、飛ばしたりするのよ」


「変わった力だのう。物質を形成するのは気力の特徴だと思っとったが…それは半々と言った感じがするのぅ」

「戦闘で言うと中距離戦主体で、近距離でトドメという形になるんですね」

「えぇっと、そう!多分そうよ!」


「テフラが近距離、わしが遠距離と考えると、バランスはよいな」

「俺も遠距離組みだなぁ」

「お主は、まぁスキルはそうかもしれんが…馬鹿力があるからのう、距離とか関係なくないか?」

「えっ…まぁ、そうと言えばそうだけどさ…それはノーカンでしょ」

「戦える距離の話だろ?ノーカンじゃないわい」

「戦闘タイプの話でしょっ!ノーカンですぅ~~~」

「何をそんなに拘るんだ」

「俺は自分で選ぶときは、いっつも魔法系なの!」

「選ぶ?何の話をしとんだっ!」


2人の意味のない言い争いを聞いていると、

メイリーがテフラの腕に抱き着きながら、不安そうにママルとユリを見つめる。

「ふふっ、別に喧嘩じゃないですよ。心配しないで」

「そ、そうなの?でも怒ってるわよ?」

「いえ、怒ってないと思いますよ。そういうコミュニケーションなんです」

「へぇ……そういうのも、あるのねぇ…」

読んで頂きありがとうございます。

ここで7章は終わり、次話からヴェントでの話となります。

更新ペースが中々上がらずすみませんが、

ブクマや評価等していただけると励みになります。宜しくお願い致します。

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